ハイブリッドにもいろいろと方式はあるが、ハイブリッド車といって一番に思い浮かぶのはトヨタプリウスではないだろうか。フルハイブリッドの元祖であり、システムを進化させ続けている。そしてそれをお買い得な価格で提供したアクアも印象深い。
一方でe-Powerという名前で大ヒットモデルとなったのが、日産ノートだ。こちらはシリーズハイブリッドという、プリウスとは異なるシステムを採用している。この二つの方式の仕組みと、それぞれの利点と欠点を検証してみたい。
文/片岡英明、写真/TOYOTA、DAIHATSU、ベストカー編集部
■シリーズとパラレル? ハイブリッドには種類がある
異なる複数の動力源を使って走らせるのがハイブリッドカーだ。一般的には内燃機関のエンジンにモーターを組み合わせ、燃費を向上させてCO2(二酸化炭素)などの有害物質の排出量を抑えている。トヨタはハイブリッドシステムに関して数多くのノウハウを持ち、早い時期に実用化に成功した。
最初の作品は、エンジンと電気動力のモーターを直列(シリーズ)につなげた「シリーズ・ハイブリッド」式の小型バス、コースター・ハイブリッドだ。これはエンジンで発電機を回して電力を作り、それをモーターに送って車輪を駆動するハイブリッドシステムである。
シリーズ・ハイブリッドは、バッテリーEV(電気自動車)を研究していく過程で考えられた。EVは走行中にCO2を出さない。バッテリーに蓄えた電力だけでクルマを走らせられるのは理想的だ。
が、弱点はバッテリーが重く、航続距離も短いことである。そこで充電する代わりに発電装置として小さめのエンジンを積み、電力が十分にあるときはEV走行を、電力に余裕がないときはエンジンを回して発電しながら走れるようにした。
いっぽう、エンジンが駆動の役割を果たすとともにモーターも同じように駆動するハイブリッドシステムもある。それが「パラレル・ハイブリッド」式だ。内燃機関と電気動力が並列になっており、駆動を行う。
ホンダが2代目のフィットやCR-Zなどに採用したIMA方式はその代表と言えるだろう。発電と駆動の両方を行うモーターは、エンジンの駆動をアシストする脇役とした。そのためマイルド・ハイブリッドと呼ばれることも多い。
出力と効率はそれなりだが、コンパクトに設計できる。また、コストアップも避けられるから海外では採用しているクルマが多い。
現在のトヨタの主役は、シリーズ式とパラレル式のいいところを組み合わせた「シリーズ・パラレル・ハイブリッド」である。「フルハイブリッド」とも呼ばれ、モーターを2つ搭載するとともにトランスミッションの空いている所にモーターと発電機、遊星ギヤによる動力分割機構を収めている。
異なる動力を自在に駆動するトヨタ独自のハイブリッドシステムは「THS」と名付けられ、現在は発展型の「THSII」だ。駆動用バッテリーもニッケル水素に加え、リチウムイオンバッテリーも使われるようになってきた。複雑だが、効率のいいシステムだから群を抜く燃費性能を実現している。
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