かつては、アクアやプリウスなどにならんで、トヨタのトップセラーモデルのひとつだった、5ナンバーサイズミニバン「シエンタ」。しかし、2020年頃からその人気に陰りが見え始め、現在はライバルであるホンダフリードの後塵を拝す状況となっている。
市場奪還のためには、次期型の登場が待ち遠しいシエンタ。現行型の魅力を振り返りつつ、次期型への期待について、考察する。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、HONDA
現行型でヒットモデルに駆け上がった
初代シエンタの登場は2003年のこと。3列シート、7人乗り、両側スライドドアと、ミニバンとしての魅力を盛り込みつつ、ミドルサイズミニバンのノアやヴォクシーよりも小型でボンネットも長く、トールワゴンに近いスタイリングで登場した。
「トヨタ最小の両側スライドドアミニバン」というくくりで言えば、ダイハツ・アトレー7のOEM「スパーキー」というモデルが前身にあたるが、これとはコンセプトが異なるため、トヨタ車としては全くの新規モデル。ただ、同コンセプトでライバルのホンダ モビリオが2001年に登場しているため、そのフォロワー(後追い)ではあった。
柔らかい表情の丸形ヘッドランプやクリーンなイメージの外観は、ヴィッツやカローラなどからステップアップしたい人に違和感なく受け入れられる親しみやすさがあった。「女性でも運転しやすそう」というイメージはこういうクラスにとって大切だ。
初代は2010年に一旦販売を終了したものの、翌2011年にはマイナーチェンジを伴って販売再開。アクティブな外観を持つ新設定の「DICE」も登場し、カッコよさも求めたい男性のニーズにも応えた。
その後、2015年に現行型となる2代目が登場。コンセプトは「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」。アクティブで機能的な内外装デザイン、ファーストカーとしても十分な上質感と存在感。初代登場から12年の時を経て、しっかりユーザーの声に応える魅力的なモデルに生まれ変わった。
SUVモデルが人気の時代ではあるが、ファミリー層にとっては、やはりミニバンの使い勝手は魅力的だ。都市部でも扱いやすいサイズで経済的なモデルとなると、さらに魅力は増す。シエンタはそんなニーズにビシッと応えたモデルだった。
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