年内には登場といわれている、日本市場の新型エクストレイル。北米や中国では、とうの昔に発売となっているなか、日本仕様のエクストレイル登場を「まだかまだか」と待っている方もいることだろう。
しかし、この混乱したご時世のなか、新型が登場してすぐに発注したとしても、納車まで数カ月から1年以上も待つことになる可能性もある。仮に今すぐ発表&発売となったとしても、下手をすれば納車は1年先となれば、待ちきれないユーザーのなかには、「もう現行エクストレイルでいいから買おうか…」と考えてしまう方もいるかもしれない。
はたして、現行エクストレイルをいま買うのはアリか、それとも新型の登場(と納車)を我慢強く待つべきか!?? 現行の魅力と新型の情報をもとに、考察しよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
安くてよく走る4WD車としては十分な現行エクストレイル
まずは、現行エクストレイルを少しだけ振り返っておこう。現行モデルは、歴代3代目。先代ハリアーと同じ、2013年12月のデビューだ。デビュー当初から、ノート、セレナと並んで、日産の国内販売を支える3本柱の一つとして活躍しており、2017年には運転支援技術のプロパイロットを、セレナに続いていち早く搭載した。
「国産4WD SUV豊作の年」と言われた2018年には、CH-R、CX-5、新型フォレスターといった強力なライバル達を抑え、エクストレイルが「国産4WD SUVナンバー1」に。ただ、翌2019年は「RAV4」の登場によって、あっさりと王座から陥落した。
パワートレインは、2.0Lガソリンの2WD/4WDと、2.0Lハイブリッドの2WD/4WD、どちらもレギュラー仕様だ。ガソリン4WDのWLTCモード燃費は12.6km/L、ハイブリッド4WDは13.8km/Lと、RAV4(ガソリン4WD 15.2km/L、ハイブリッド4WD 20.6km/L)と比較すると、特にハイブリッドの燃費性能は目もあてられない。
ただ、現行エクストレイルは、とにかく車両価格が安い。最も安い仕様だと、なんと税込248万円(ガソリン4WDの「20S Vセレクション」)から手に入る。もちろん、装備は剥ぎ取られてはいるが、日産自慢の「インテリジェント 4×4」(湿式多板クラッチを用いた4WDシステム)を標準装備するなど、よく走る4WD車としては十分。
ガソリン車は、もっとも高いグレードでも350万円、ハイブリッド車は297~382万円で、このほか、専用エアロダイナミクスや専用ホイール、専用サスペンションを搭載したエクストレイルAUTECH(358 万円~)や、NISMOパフォーマンスパッケージ(+85万円)といった仕様も用意されている。バリエーションも多く、安く済ませようと思えば済ませられる、お買い得なクルマだ。
辛抱強く待った方が後悔は少ないはず
そんなエクストレイルだが、新型では、ベース価格が相当に上がると考えられる。前述したように、現行エクストレイルは4WDモデルが249万円から用意されていたが、全車e-POWER化すると思われる新型では、2WDでも300万円~、4WDだと320万円~にはなるだろう。
また、新型エクストレイルの「新型」としての恩恵を受けるには、中級以上を選ぶことが必須となるはずであり、そうなると一気に400万円台の高級SUVとなる。いままでの「お手頃な国産4WD SUV」のイメージかとはかけ離れていく。
しかしながら、新型エクストレイルの内外装デザイン、第2世代e-POWERの走りの実力など、9年ぶりのフルモデルチェンジのインパクトは相当に大きい。新型の予想価格が許容範囲で、これらの要素に少しでも魅力を感じるのであれば、新型の登場(と納車)辛抱強く待った方が、絶対に後悔は少ないはずだ。
現行エクストレイルは、良質の中古車が中古車市場で大量に存在している。中古でも許容できるのであれば、新型の登場を待って、「いや、これなら先代(いまの現行)エクストレイルでいいかも」となったら、中古車に乗り換える、というのも手だ。
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