【おいしい数字にはウラがある!?】 信じていいの? クルマ界 景気のいい話

【おいしい数字にはウラがある!?】 信じていいの? クルマ界 景気のいい話

「ダイハツ 3年連続のトップ!」

「テスラ EV世界販売 33%増の10万台超え!」

 日々自動車ニュースに接していると、こんな景気のいい見出しがまるで濁流のようにたくさん流れてくることがある。

 でもね、こういうニュースを見たり聞いたりして「本当にそうなのかよ?」と素直に受け取れないのがベストカー体質。だってたとえば景気。「いいんですよ〜」って言われても、みなさんも簡単には信じてないでしょ?

 そんな、「ちょっと景気のいい話」に切り込んでみたのが本企画。いろいろおもしろいことが見えてきましたよ。

※本稿は2018年1月のものです
文・写真:片岡英明、鈴木直也、渡辺陽一郎、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年2月26日号


「ダイハツ、3年連続の軽自動車販売トップの座をキープ。売れ売れだ!」

 軽自動車は2013年に過去最高となる211万2991台を達成、さらに翌年も227万2790台と記録を更新。

 しかし、2015年より販売は激減。2016年はピーク時の24%減まで落ち込んでいた。そして2017年の軽自動車新車販売台数は、前年比6.8%増の184万3342台で3年ぶりの増加傾向。

 ブランド別では、前年比3.9%増の60万2789台を販売したダイハツが、3年連続で年間販売台数トップとなった。2位はスズキの55万6291台。3位は34万2999台を記録したホンダという結果になった。

 以下は4位:日産18万2440台。5位:三菱5万5637台。6位:マツダ3万9761台。7位:スバル3万2594台。8位:トヨタ3万761台と続く。

[ちょっーと待ったァ!!] 小型・普通の販売は スズキ約11万台 ダイハツ2.8万台なのだ!!

 軽自動車の主力メーカーはダイハツとスズキだ。暦年の年間販売順位を見ると、2007年以降はダイハツの1位が続きスズキが2位になる。ただし2014年だけは、スズキに僅差で1位を奪われた。

 ダイハツは軽自動車では1位だが、小型/普通車を含めた総台数ではスズキを下まわる。その上位にトヨタとホンダも入るから、総合順位は4位だ(日産は5位で定着)。スズキは2017年に約11万台の小型/普通車を登録したが、ダイハツは2.8万台にとどまり総台数で伸び悩む。

 ダイハツはトヨタの完全子会社になってから、スズキを追い抜くことを目的にトールなどの小型車にも力を入れるが、トヨタも同じクルマを扱うから売れゆきを伸ばせない。往年のシャレードのような専売車が必要だ。

(TEXT/渡辺陽一郎)

ダイハツのもう一台の稼ぎ頭、ミライース

「日産、2017年の新車登録台数では3年ぶりの40万台突破!」

 2017年国内新車登録台数において、日産が3年ぶりとなる40万台突破を達成し、40万8560台を記録(前年比5.9%増)。これによりメーカー別では第2位となった。秋口に発生した無資格者による完成検査問題の影響により一時販売は低迷したもののe-POWERを搭載したノートなどが好調だったことが成績を伸ばした要因と見られる。

[ちょっーと待ったァ!!] 軽も含めた数字からは、また違った様相が見えてくる!

 2017年には国内で日産の登録車(小型/普通車)が40万台以上売れた。軽自動車を除いた登録車のメーカー別販売順位は2位になる。

 しかし1位のトヨタは156万台で日産の約4倍だ。3位のホンダも38万台だから日産とは僅差。さらに軽自動車を含めた総台数になると、日産はトヨタ/ホンダ/スズキ/ダイハツに次ぐ5位に下がる。

 日産車が売れた理由も喜べない。キューブやマーチなど最近の日産車は設計が古く、ティーダは販売を終えた。シルフィは3ナンバー車に拡大された。これらのユーザーが乗り替えに困っている時、ノートe-POWERが発売されて好調に売れた。

 つまりノートe-POWERの高人気は、国内市場を軽視する日産に向けた不満の裏返しともいえるだろう。これにセレナの一新も加わり、販売が伸びた。

(TEXT/渡辺陽一郎)

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