以前は、「クルマは良いのにインテリアがダサい」というイメージもあった日産車だが、近年はアリアに代表されるように、見違えるほどよくなってきている。「どうしてこれまでできなかったのか」とも思ってしまうが、他社車にひけを取らないレベルに仕上がっているのは、非常に頼もしい。
「やればできる」のなら、もっともっと高みを目指してほしい、ということで、直近で登場した3台のインテリアの特徴を確認しながら、筆者が素晴らしいと思うポイント、そしてあと一歩だと感じるポイントについて、触れていこう。
文/吉川賢一、写真/NISSAN、奥隅圭之、佐藤正勝
【画像ギャラリー】新型サクラは軽とは思えぬクオリティ!! 質感が大幅に進化した日産車のインテリアを写真で詳しく(45枚)画像ギャラリーアリア(539万円~)
●良い点:精巧感溢れるツインディスプレイと本革素材が秀逸
現在の日産車のなかで、最もインテリアの質感が高いのは「アリア」だろう。大型のディスプレイは、前後に段差を付けてレイアウトしているが、滑らかな面で繋ぎ、一枚の大きなディスプレイのように表現しており、精巧につくり込まれている印象を受ける。日除けがないタブレット型のディスプレイは、従来のクルマのメーター周りとは一線を画すデザインで、未来的だ。メルセデスやヒョンデもタブレット型のディスプレイを採用しているが、日産のツインディスプレイも、非常に上手なみせ方だと思う。
インパネやシートには、プレミアムな質感のナッパーレザーシート(ブルーグレー)を採用。この本革が、色味もあいまってしっとりと落ち着いた印象で、まるで高級なラウンジのような雰囲気を演出してくれる。シンプルでありながら美しく力強いデザインは、日産史上、ダントツで1位のインテリアではないだろうか。
●あと一歩な点:埋め込み式スイッチの操作性
木目調パネルに浮かび上がるエアコンのハプティクススイッチは、必要なときには現れ、不要なときには形を消す。スイッチ部分を押すと、運転中でも振動で操作感が伝わるようにもなっている。またセンターコンソールにあるモード切り替えスイッチも、押すと振動するタイプだ。
しかし、やはり操作性はイマイチ。温度調節をする場合、このスイッチを何度か押すことになるのだが、指を引っかける凹凸がないなかで、平らな面にあるスイッチを押すのは、なかなか難しい。特に、運転中のように身体が揺れてしまう車内では、スイッチ部が押すと振動してくれるとはいえ指先が定まらず、周りのインパネに手をついたうえで、探りながら押すような操作となる。
使い勝手を考えるエルゴノミクス部門として、これが使いやすいと考えたのか、デザイン部門が主導して押し切ったのかは分からないが、筆者には、従来の物理ボタンから改悪されているように思えてならない。
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