MX-30よどこへ行く!!? マツダが鳴り物入りで送り出したのに存在感が薄くなっているワケ

MX-30よどこへ行く!!? マツダが鳴り物入りで送り出したのに存在感が薄くなっているワケ

 トヨタ bZ4X/スバル ソルテラ、レクサス RZ、日産 アリア、日産サクラ/三菱 eKクロスEV、ヒュンデのアイオニック5といった新型EVが登場しているが、それよりも先に鳴り物入りで登場したEVを、すでに多くの人が忘れているのではないだろうか?

 そう、マツダのMX-30EVだ。

 軸足を欧州に置いたモデルなので、日本では売る気がたいしてない……といえばそれまでだが、ベースモデルとなったMX-30もほかのモデルと比べても残念と言わざるを得ない状態だ。

 なぜMX-30EVはここまで存在感の薄い状況になってしまったのか? 国沢光宏氏がその問題点を考察していく。

文/国沢光宏
写真/MAZDA

【画像ギャラリー】薄まっていく存在感……消えるにはまだ早い!? マツダ鳴り物入りのMX-30 EVとベースモデルのMX-30(14枚)画像ギャラリー

■売る気はある? CX-5やCX-30などと比べて苦しい販売状況

 MX-30がまったく売れていない。2022年5月の登録台数を調べてみたら、エンジン搭載モデルは21台。電気自動車3台!

 MX-30というモデル、デザインを見ればわかるとおりCX-30のプラットフォームながら上屋は完全に別モノ! 観音開きドアを作ろうとすれば、共通部分なし! MX-30の開発に熱心だった藤原前COOは「こういうクルマ作りが2%の顧客を満足させる!」とご満悦だった。

 とはいえ私はクルマを見た瞬間「売れるワケない」と思い、乗ったらボディ剛性ないしウルサイし使い勝手悪いし高価だし……のため「売れない」という記事を書いた。

 まぁホンダのようにカッコ悪くて高価なCR-Vを売れないとわかっていて出す「クルマおんち」が現在進行形でいることを考えたら同類なんだろうけれど、誰だってMX-30は100%成功しないと予想できた。

観音開きの特徴的なサイドドアを採用したマツダの意欲作「MX-30」……だったのだが、EVモデルの2022年5月の登録台数は「3台」と芳しくない
観音開きの特徴的なサイドドアを採用したマツダの意欲作「MX-30」……だったのだが、EVモデルの2022年5月の登録台数は「3台」と芳しくない

 さらにキビシイのがMX-30EV。使い勝手やデザインは悪いというレベルじゃなく、開発スタート時に決めたであろうスペックを見ただけで「ダメ」とわかる。

 なんせ電池搭載量が35kWhと10年前のレベル。この容量だと実用航続距離は丁寧に走れば200kmに届くものの、冬の雨の日に除湿しながら走ったら150kmすら怪しい。実際、欧州の電気自動車サイトは145kmと評価している。

 150kmも新車時の性能だ。MX-30が使う三元系リチウム電池は充放電回数700回程度で80%に落ちてしまう。10万km走ったら航続可能距離120kmということ。燃費のいいハイブリッド車だと最初から残量警告灯点いた状態です。

 そんな電気自動車、イマドキ通用すると思っていたんだろうか? 参考までに日産 リーフe+は24万km走って250km程度の走行可能距離をキープ可能。

 それでいて451万円スタートと高価だ。2倍の電池搭載量となる日産ARIYA(アリア)が539万円スタートということを考えたら(補助金はARIYAのほうが大きい)実質的な購入価格は同等レベル。

 そもそもマツダのディーラーに急速充電器がなく、しかも公共の急速充電器は減るいっぽう。買ったら日産ディーラーなどに行かなくちゃならない。最初から売りっぱなし作戦だったということ。

次ページは : ■2%を狙ったモデルに挽回策はなし!? MX-30が次に打つ一手

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