米国の大手トラックメーカーで、フォルクスワーゲンの商用車部門であるトレイトン・グループに属するナビスターは、「インターナショナル」ブランドの大型トラック「LT」のモデルチェンジと、新型パワートレーンを発表した。
専門メーカーが存在する米国では、トラックのエンジンやトランスミッションなどを社外から調達することも多いが、今回の「S13統合パワートレーン」はナビスターがトレイトンと協力して白紙から開発したという。
その統合パワートレーンだが、エンジン・トランスミッションから排ガス浄化用の後処理装置まで、一体的に新規開発することで従来車に対して15%もの燃費向上を謳う意欲作だ。
「いかにもアメリカン」なトラックを作るナビスターだが、トレイトン・グループの力も借りて、他にはマネのできないソリューションの実現を目指している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/Navistar
長距離輸送用の「LT」シリーズを刷新
米国ナビスターのトラック&ディーゼルエンジンブランドであるインターナショナル・トラックは2022年8月16日、長距離輸送用大型トラクタ「LT」シリーズの刷新を発表した。
米国の重量車区分で最も重い「クラス8」に分類される次世代トラックでは、主に安全性とパフォーマンスの向上を図った。新しい空力パッケージの導入に加えて、とりわけ注目されるのが新たにオプションに指定された「S13統合パワートレーン」だ。
パワートレーンについては後述するとして、インターナショナルの大型トラックのラインナップを簡単に説明すると、フラッグシップでクラシックスタイルの「ローンスター」、長距離輸送用の「LT」、地場輸送用の「RH」に分かれている。
LT(Long-haul Tractor=長距離輸送トラクタの略と思われる)はかつての「プロスター」、RH(同じくRegional Haul=地場輸送)は「トランスター」から2017年に車名変更されたものだ。
なかでも長距離輸送を担うLTは、燃費に対する要求が厳しく、パワートレーンの効率向上とともに、この度、空力性能を向上するエアロダイナミック(空力)パッケージが刷新された。
空力パッケージに含まれるのは、例えば、DEF(アドブルー)タンクや燃料タンクを覆うサイドスカート、前輪を覆うバンパー+スカート、トラクタ・トレーラ間のギャップを埋めるルーフエクステンダーなどで、いずれもエアフローの改善を目的としている。
また、フロントのデザインが刷新され、バンパーやグリルは最近のインターナショナルトラックと統一感のあるスタイルとなった。ドライバー用の装備としてはマットレスが新しくなったほか、長距離ドライバーのために寝台は跳ね上げ式で、キャブ内のスペースを最大限に活用する。
安全性能の進化としては衝突被害軽減ブレーキがさらに進歩したほか、電動パーキングブレーキによりドライバーが忘れた場合でもトラクタとトレーラのパーキングブレーキを自動でエンゲージする。
ナビスターでオンハイウェイ大型トラックビジネスを担当するチェト・チセルスキー副社長は次のように話している。
「新型LTシリーズはお客様に優れた経済性と付加価値をもたらします。私たちは製品を刷新するとき、お客様のことを最初に考えます。お客様からのフィードバックにより製品を最適化することができるからです。この新しいLTシリーズは、お客様の声を聞き続けたことの証明であり、フリートの効率とパフォーマンスを最大化することをお約束します」。