ミニバンの王者といえばトヨタ アルファードだ。今や一般ユーザーだけでなく各界のVIPも愛用するほどで、憧れのクルマといっても過言ではない。だが、本当に欠点はないのか? もちろん快適性など高級サルーンに勝るとも劣らない実力の持ち主であるが、もう少しこうだったら……なんてポイントがあってもおかしくはない。
ちょっといじわるだが、現行モデルのネガ要素を紹介しつつ、新型アルファードのあるべき姿を考えよう!!
文:清水草一/写真:ベストカーWEB編集部
【画像ギャラリー】コレでも足りないか……アルファードの内装やっぱすごくないか!?(11枚)画像ギャラリーモデル末期でもバカ売れ中のアルファード……本当に文句なしか!?
無敵の快進撃を続けるアルファード。そのフロントフェイスはどこか『進撃の巨人』を思わせるが、まさに、すべてをなぎ倒しつつ進んでいる。なにしろ月販1万台に届く月もあるのだ。今年に入ってからは、平均して月販5千台強だが、それでもアクアやヤリスと肩を並べる数字。価格を考えると、信じられない売れ行きだ。
そんなアルファードだが、来年5月に新型に切り替わるため、現行型はすでに受注を打ち切っている。買いたくても買えないので、中古車が新車より高値で売られている。
そんな売り手市場のアルファードだが、カーマニア的には、足りない部分がたくさんある。その足りない部分を列挙し、次期型への期待をふくらませてみたい。
停止中ならまだしも……意外と快適性に欠点が!?
アルファードは、「自宅のリビングのようなリラックスした時間を楽しめて、クルマがこんなに快適な移動手段になるのかと感服させられる」と一部で評されているが、個人的には信じがたい。アルファードのどこがそんなに快適なのだろう。
アルファードの快適さは、室内の広さや、シート&装備のゴージャスさに依拠している。つまり、停止した状態ならまぁまぁ快適だが(シート座面の面積がやや小さいのは残念)、動いていると全然ダメだ。乗り心地が全然ダメなのである。
とにかくボディ剛性が足りず、路面の微妙な凹凸を乗り越えるたびにボディが歪むのを感じる。ボディの歪みは、ダイレクトに乗り心地を悪化させる。VIPが座るはずの2列目シートも不規則にゆすられ、突き上げられる。特に、車道と歩道の段差を乗り越えたりする場合は、「ミシッ」という音とともに、乗員の体は大きくゆさぶられる。
重心の高さも問題だ。重心が高いから、コーナーで車体がロールする。当然のことだが、着座位置が高いミニバンの場合、ロールはその分増幅されて乗員に伝わる。これで快適なわけがない。
つまり、アルファードで快適に移動するためには、ドライバーは細心の注意を払いながら、ごくゆっくり走る必要がある。飛ばしたら、快適性なんか吹っ飛んで、遊園地の乗り物のようになってしまう。実際には、多くのアルファードがかなり飛ばしていたりするが、乗員の皆様には同情するしかない。
「アルファードが快適」と言っている人は、一度センチュリーやロールスロイス・ファントムに乗ってみるといい。簡単には乗れないでしょうが……。「これが本当のホンモノの快適性ってヤツか!」と瞠目するはずだ。アルファードが快適だ快適だと言ってるVIPは、本当の快適さを知らない人だ。まぁそんなゼイタク、あえて知る必要ないですが……。
次期アルファードには、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)が導入される。それによってどこまで快適性がアップするだろう? ノア/ヴォクシーは、TNGA導入によるボディ剛性アップによって、先代よりもかなり快適になっていたが、それでも本当のホンモノの快適さとは程遠かった。
アルファードも、今よりは改善されるだろうけれど、左右スライドドアという、ボディ剛性にとって極めて不利な構造を取る限り、根本的な解決は不可能かもしれない。健闘を祈るしかない。
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