2021年5月、復活が高らかに宣言された三菱自動車のスポーツブランド「ラリーアート」。まずは手始めにタイのラリーチームへの技術支援という形で、その名も「チーム三菱ラリーアート」としてアジアクロスカントリーラリー2022に参戦! その詳細をレポート!!!
※本稿は2022年12月のものです
文/諸星陽一、写真/三菱自動車、諸星陽一
初出/ベストカー2023年1月10日号
■「三菱ラリーアート」の名がモータースポーツに帰ってきた!
「チーム三菱ラリーアート」。
ラリーアートの名が冠されたチームがモータースポーツに復帰、そして優勝した。イベント名は「アジアクロスカントリーラリー2022」。
1996年に始まった(2019~2021年は新型コロナの影響で中止)この大会は、アジアの複数国にまたがってラリーレイドを行うもので、今大会はタイを出発しカンボジアまで、途中6度のSSを経て、総走行距離約1700kmで争われた。
出場マシンはピックアップトラックのトライトン。チームの総監督はダカールラリーで優勝経験のある増岡浩だ。
勝ちにこだわりのある増岡だが、今回のスタート前には「できれば上位入賞を狙っていきたい」と意外と弱気であった。
チームもあまり幸運に恵まれなかった。3台体制で臨んだものの、そのうちの1台のドライバーが新型コロナに感染、リタイヤとなったため、2台体制となったのだ。
SS2で105号車のチャヤポン・ヨーター(タイ)が2位に4分強のリードをもってトップタイムをマークした際も、118号車のリファット・サンガー(インドネシア)がパンクが原因によるリアサスペンション損傷で8位となったこともあり、増岡は「まだまだ先は長い、気が抜けない」と慎重だった。
しかしチャヤポンは最初のリードタイムが生きた。
ライバルが徐々にタイムを詰めてくるが、チャヤポンのタイムには届かない。逆にチャヤポンはこのタイム差を生かし、各SSを無理のない走りでクリア。優勝につなげた。
一方、リファットも徐々に順位を上げ、最終的には総合5位でのゴールとなった。
今回は三菱が技術支援という形でタイのラリーチームに関わってこの偉業を達成したのだが、チーム名にラリーアートの名がついていれば、世界中から大注目されるのは当たり前である。
ラリーアートの顔である増岡をはじめ、メンバーの重圧もかなりのものだったはずだ。
しかし、それらを押しのけて勝利にたどり着いたのは、まさに老舗ならではの経験値の差だといえる。
PHEVやeKクロスEVなど電動モデルへの注力が際立つ三菱だが、世界、特にアジアに向けては生活やビジネスで重要な役目を果たすピックアップトラックにも力を入れている。
この勝利は、アジア圏でのトライトン人気を一気に押し上げることになるだろう。(文中敬称略)
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