トヨタ車のデザインの評判がよくない。
特にWeb上では顕著で、アルファード/ヴェルファイアの大型グリルや現行型プリウス、新型カローラシリーズのフロントマスクなどに批判が集まっている。
なぜトヨタのデザインは評判がよくないのか? 何か理由があるのか? そもそも本当にデザインが悪いと言えるのか?
かつて『ベストカー』本誌で(元日産デザイナーの故前澤義雄氏とともに)「デザイン水掛け論」という連載を続けてきた清水草一氏に、トヨタ車の最近のデザインについて分析してもらった。
文:清水草一
■毒にも薬にもならない存在から自己主張へ
最近、特にweb上で、トヨタ車のデザインの評判が最悪だという。
その筆頭はアルファード/ヴェルファイア。ノアー/ヴォクシー/エスクァイアも、その流れで評判が悪い。マイナーチェンジ前のプリウスも「歌舞伎顔」と言われ評価が最悪だった。
いったいなぜ、これほどまでトヨタデザインの評判が悪いのか。
理由は、主に心理的な部分にあると私は考える。
私が見るところ、ここ10年ほどで、トヨタデザインは劇的に良くなっている。依然ダメなものもあるが、多くのデザインが失敗を恐れず、明確に自己主張するようになった。
かつてトヨタ車は80点主義と言われ、デザインもそうだった。いや、デザインに関しては、80点どころか50点くらいの、毒にも薬にもならない、絶対にモテそうにない浪人生みたいなデザインばかりだった。
個人的には、その当時のトヨタデザインこそ、どれも退屈で最悪だったと思うが、モテない浪人生を、「ダサい!」と声を荒らげて非難する人はあまりいない。
しかし現在のトヨタデザインは違う。あえて言えば、ジャニーズのようになった。
実は私は、ジャニーズのタレントたちが嫌いである。まったく区別がつかないが、いかにも女性ウケしそうなあのスカしたルックスがムカつく。
近年のトヨタ車は、モテない浪人生を脱皮し、モテるように頑張っている。つまり、ジャニーズっぽくなっているとも言える。
ジャニーズは超メジャー。日本市場で圧倒的なシェアを持つトヨタも、言うまでもなく超メジャー。メジャーでモテるとなれば、それは積極的にムカつく存在だ。だから一部トヨタデザインは評判が最悪なのだ。
では、評判最悪のトヨタデザインについて、一言つづ分析してみよう。
■アルファード/ヴェルファイア
私に言わせれば、アルファード/ヴェルファイアはズバリ、3代目Jソウルブラザースである。札付きの不良ルックだ。不良がモテるのは世の常だが、アルファード/ヴェルファイアはその帝王クラスなので超モテモテ。特に現行アルファードの超絶銀歯グリルは、これまでの常識をはるかに超えた高みに至っている。アジアでも人気急上昇中だ。あのオラオラフェイスが許せないのは、残念ながらある種のヒガミだろう。
オラオラミニバンは、すべて同様の傾向だが、ノア/ヴォクシー/エスクァイアはそれよりはランクが下がり、タンク四兄弟になると地方のヤンキーになる。
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