レクサスLMが日本市場へ導入されることが2023年4月18日に発表された。ミニバンの新たな歴史の船出となりそうだが、兄弟車の新型アルファード/ヴェルファイアも控えているのが2023年。それでもLMが売れる3つの理由とはいったい?
文:佐々木亘/写真:LEXUS
■「アルファードのレクサス版」とは言わせない独自性
レクサスLMはフラッグシップMPVにふさわしい乗り心地、静粛性、機能性を備え、迫力のある中にも丁寧で上質なデザインセンスが光っている。まさに、レクサスがイチから作ったラグジュアリームーバー(LM)であり、「アルファードのレクサス版」とは言わせないこだわりが随所に見えた。
特にこだわるのは後席の快適性。周波数感応バルブ付AVSをレクサス初採用し、ドライブモードにはRear Comfortモードを備える。AVSの減衰力特性を後席の乗り心地優先にし、アクセルやブレーキ制御も、ボディの姿勢変化を少なくするセッティングになった。
これまでレクサスの最上級を示す「L」を車名に冠したクルマ(LS・LX)では、一部ショーファー要素が盛り込まれているものの、基本的にはドライバビリティを高めるクルマ作りが行われている。
しかし、新型LMのリリースを見る限り、クルマ作りの中心は後席だ。つまりLMはショーファードリブンの最高峰と、究極のMPVを目指したということになる。
そして多様化の進むラグジュアリーセグメントのオーナーに対し、レクサスはLMという一つの答えを導き出した。
LMをボディ形状で区別し、日本的に呼べばミニバンだ。ただ、単なるミニバンとして括ることはできない顔を持っている。LMはこれまでの日本車には無い新たなカテゴリーのクルマだ。
よってアルファードの存在が、LMの販売における障壁にはなりえない。
■「いくら高くてもレクサスなら買う」という強固な地盤
レクサスにセールスコンサルタントとして在籍していた筆者。当時から、レクサスのフラッグシップMPVを求める声は多かった。LSやLXでは広さや乗り心地が不十分で、多目的に使えるショーファーカーにはならなかった背景がある。
「アルファードのような大きさのレクサスは出ないのか」とオーナーに言われ続けるも、レクサスとしてMPVを提供できない時代が続いた。筆者も、オーナーになんとか納得してもらいながらアルファードのエグゼクティブラウンジを買ってもらうという経験を何度もしている。
レクサスのMPVを求めるオーナーのスタンスは、常に変わらない。
いくら高額でもいいものは買う。そしてレクサスが出すのだから、それはいいクルマであるに違いないというスタンスだ。今も昔も、LMに期待し、LMを欲しいと考える人は日本全国にいて、今回の発表に心躍らせていることだろう。
トヨタとレクサスは何が違うのかと、批判的に見られていた時代もあったが、国内開業から十数年が経過し、レクサスは独り立ちし一流のブランドになった。
そのレクサスからフラッグシップMPVが出る、それだけでLMが売れる秘訣の一つになってしまう。それほど、レクサスが特別なシンボルになっているのだ。理屈が通っていないが、レクサスだから売れるというのは、理屈で語れる域を既に超えてしまった。
コメント
コメントの使い方