WRC最年少王者のカッレ・ロバンペラが来日。ラリー以外にも趣味としてドリフトをしており、2023年5月20〜21日にエビスサーキット(福島県)で行われた、FDJ(フォーミュラードリフトジャパン)にスポット参戦。なんと、世界チャンピオンの圧倒的なテクニックを見せつけ、優勝を成し遂げた。
文/写真:成田颯一
■史上最強GRカローラで緊急参戦
火曜日に来日し、水曜日からシェイクダウンという、タイトスケジュール中での今回の参戦は、TOYOTA GAZOO RacingとRed Bull、CUSCO、YOKOHAMA、HKSがコラボレーションしたドリームチーム。
マシンは、ドリフト仕様のGRカローラ、「Red Bull GR COROLLA」で、スープラなどに搭載された名機トヨタ製6気筒2JZエンジンをスワップしている。こちらも抜かりなくHKSのチューニングパーツで3.4L化。驚愕(ドリフト界だと普通だけど)の1000ps以上のパワーが見込めるが、今回はサーキットの特性に合わせて、調整している。
タイヤは、「ADVANネオバAD09」だ。市販ラジアルタイヤで1000psまで対応できるってのはサスガ。GRカローラの印象についてロバンペラはこう語る。
「非常に乗りやすいクルマだと思っています。ヨーロッパではスープラでドリフトをしているので、それと比べるとかなりアジャストが必要でした」。
ちなみに、ドリフトの聖地とも言われている、エビスサーキットを、過去にはエビス祭りで3回走ったことがあるそうだ。
■予選97点のぶっちぎりでどよめきが起きる
FDJの予選は、計2回の単独走行で採点。コースレイアウトに準じた車の走行軌跡「ライン」、ドリフトの角度「アングル」そして、ドリフトの迫力「スタイル」の3項目が、審査員によりチェックされる。
レースは日本語と英語でそれぞれライブ配信されており、世界中が注目するレースだ。爆音のミュージックがスピーカーから流れるパドックは、海外からのメディアや観客も多く、英語が飛び交う少し独特な雰囲気となっている。
昨年よりも観客スタンドが増設されていたが、そのスタンドのほとんどが埋まっており、いかに今回のレースが注目されているかがわかる。参加する車両も実に個性的だ。
シルビアやJZX100、4ローターを搭載したRX-7、GRスープラ、新型のフェアレディZ、シボレー製V8エンジンを載せたNDロードスターといったハイパワーマシンも参戦している。
福島県の天気予報は曇りであったが、サーキットには朝から雨が降り続いており、路面はウエットコンディション。初参戦のロバンペラは、トップバッターで走行。世界中の注目が集まる中、雨で滑りやすい路面をものともしない、正確なマシンコントロールで、まずは89点(ライン29点、アングル25点、スタイル35点)を獲得。
この後の1本目では、同じレッドブルリバリーのRX-7、マッド・マイクが、89点を獲得し、トップタイで1本目を終えている。午後からは、天候が回復して、路面はドライコンディションに。2本目の走行では、盛大なタイヤスモークが上げながら、1本目以上にダイナミックな走りを披露。
会場からはどよめきが起こり、97点(ライン30点、アングル29点、スタイル38点)というぶっちぎりの高得点で、初日の単走を優勝で終えた。
コメント
コメントの使い方FR化した完全ドリフト競技用車ですから最強かは別の話ですが、GRヤリスの同仕様と非常に流用の多い、
というかほぼ共通な改造してあるカローラだけに、クスコGRヤリス並のポテンシャルはあるはずです。
しかし優勝まで成したのはやはりドライバーの力。GRヤリスで4位な伸び盛り箕輪選手にも非常に大きな刺激になったと思います。