ランクル250ほしいなあと思って資料を見ていたら、「トヨタ初のスタビライザー制御SDM」という言葉をみつけた。初モノには敏感な編集部員だが、SDMが何かわからんし、そもそもスタビライザーって何よ? 同じ疑問を持つ人のために、そこらへんを分かりやすく解説してみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部
■柔らかいサスペンションは困ったこともする
当たり前だがクルマにはサスペンションが付いている。乗り心地をよくしたり、タイヤをきちんと路面にくっつけたりするためだ。デコボコな路面を走るとき、ショックを吸収するためにタイヤが上下に動くのは、サスペンションのおかげだ。
ところが、サスペンションが動きすぎると困る場面もある。たとえばカーブを曲がるとき。
旋回中のクルマには遠心力が発生し、車体がコーナー外側に傾く(ロールと呼ぶ)わけだが、柔らかいサスペンションはこの動き(コーナー外側のサスペンションが縮み、内側は伸びる)を止めてくれない。乗っているとクルマがコーナー外側に倒れるように思えて、ヒヤっとしたりするわけだ。
デコボコ路を走るときは動いて、クルマが傾くときは踏ん張るようなサスペンションを作るにはどうするか。
考え出されたのがスタビライザーという装置だ。左右輪のサスペンションを金属棒などで繋いでしまい、左右のタイヤが極端に違う動きをしようとしたら、金属棒がじわじわとたわんで、サスペンションの動きを規制する。こいつがスタビライザーの原理。実際「こいつは素晴らしい」ということでスタビライザーは普及し、めったに悪路など走らないSUVでも、採用が進んだというわけだ。
■出番じゃないときはスタビに引っ込んでてもらう
しかし、ここでまた「ところが」である。岩場や砂漠、泥濘地を走る本格的なオフロード車では、このスタビライザーが邪魔になるのだ。
パリ・ダカなどの映像を見たことがある人は、駆動力を得るために、4輪のタイヤが信じられないほど伸びたり縮んだりすることをご記憶のはず。そのバランバランな動きを、スタビライザーが制限してしまうというわけだ。
オフロード車だって舗装路も走るから、スタビライザーの効果はほしい。でも悪路に入ったら、スタビライザーには出しゃばってほしくない。
こんなわがままに答えるためにトヨタが考えだしたのが、「アクティブスタビライザー」という発想。簡単にいえば、走行状況に応じてスタビライザーを切ったり繋いだりできるようにしようというものだ。
歴史的には、レクサスの初代GXに搭載された「KDSS(キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)」が初出だろうか(2004年モデルにオプション設定)。キネティックとは「活動的な」という意味だ。
当初のKDSSはスタビライザーの断続に油圧を用いていたが、2021年に登場したランクル300は、この機構を電子制御化した(E-KDSS)。オンロードかオフロードかをドライバーが判断する必要はなく、車両が路面状況や車輪の動きを判断して自動でスタビライザーの締結/解放を判断するという優れものだ。
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