アクセルもブレーキも「踏む」から「握る」へ!! なぜトヨタはランクル250からすべてのペダルを撤去する試みをするのか?

アクセルもブレーキも「踏む」から「握る」へ!! なぜトヨタはランクル250からすべてのペダルを撤去する試みをするのか?

 トヨタがジャパンモビリティショーにステアリングを出展する。「NEO Steer」と名付けられたそれはランクル250に搭載されていたが、なんと手だけでクルマのすべての運転操作を行えるという。しかもかっこいいのよ……。

文:ベストカーWeb編集部/写真:池之平昌信

■足よりも実は楽なんじゃないか!?

このステアリングが「ネオステア」。Dシェイプともなんとも言えないルックスだ
このステアリングが「ネオステア」。Dシェイプともなんとも言えないルックスだ

 ジャパンモビリティショーのメディア向け事前取材会場。そこに置かれたランクル250は一見するとなんの変哲もないランクル250だが、乗り込むとあるべきものがない。なんとアクセルペダルもブレーキペダルも存在しないのだ。

 その代わりに見慣れないステアリングホイールが装備されている。これが「ネオステア」と呼ばれるトヨタが新開発した「ハンドドライブ」専用のステアリングホイールだ。つまりハンドルだけでクルマを運転できちゃうってこと。

ステアリング右にあるのがアクセル。親指で押すような形になっているがこの応力がなんとも言えないちょうどよさ
ステアリング右にあるのがアクセル。親指で押すような形になっているがこの応力がなんとも言えないちょうどよさ

 ハンドルを握り親指を伸ばした先にスイッチがあり、これがアクセルだ。このスイッチを押すと加速していく仕組み。実際に体験してみるとこの押し具合が絶妙で、簡単に言えばプレイステーションのジョイスティックを横に倒した時のような反力がある。

 アクセルと同じ役目をするだけにほんの数mmの操作にも対応できるし、アクセル開度を維持することも容易。さらに絶妙な反力なので指が疲れて仕方がないなんてこともなさそうだ。

ブレーキは左右の裏側に。緊急操作をする場合でも両方にあるほうが確実性が増す
ブレーキは左右の裏側に。緊急操作をする場合でも両方にあるほうが確実性が増す

 肝心のブレーキはステアリング裏に自転車のようなブレーキレバーがある。ブレーキレバーは左右にあるが、これは緊急回避の際にどっちでも握れるようにという配慮。アクセルと同様にこちらも適切な反力があって非常に心地がいい。

 またブレーキやアクセルなどの位置はバイワイヤなのでどこにでも置くことができる。ユーザーの希望を反映することができるのも、ネオステアのメリットだろう。

■パラアスリートとの共同開発

ぱっと見で福祉車両っぽさがないのも特徴。ネオステアのデザイナーはランクル250と同じデザイナーだ。また下側のバーが平たい形状なのにはワケがある
ぱっと見で福祉車両っぽさがないのも特徴。ネオステアのデザイナーはランクル250と同じデザイナーだ。また下側のバーが平たい形状なのにはワケがある

 実はこのネオステア、チェアスキー選手の森井大輝選手にアドバイスをもらって開発。自身もランクル200のオーナーの森井選手だが、バイク事故で下半身不随というハンディキャップを持つ。

 自らがハンディキャップを持つドライバーとして、森井選手のアドバイスは開発に生かせるものばかりだったという。例えば車両の乗降には力が必要ということで、今回のネオステアも下側のバーはフラットになっていて、掴まりやすいような設計がなされている。

 トヨタの担当者によれば当初は障がいのある方へのステアリングとして設計したというが、トヨタ社内で試してみたところ健常者でも「新しい感覚」として楽しめる人が多かったという。

ペダルが撤去された運転席。どこに足を置くべきか悩んじゃう?
ペダルが撤去された運転席。どこに足を置くべきか悩んじゃう?

 ステアリング自体は物理的には約90°程度しか回らないのだが、ステアバイワイヤだから車庫入れなど低速時はちょっと切ればかなりの舵角を得ることができるのも高評価だったそうだ。

 さらに豊田章男会長もこのネオステアの楽しさにゾッコンという。もちろん市販前提になってくる技術であり、これからは「ペダルレス」という新たな選択肢が増えるかもしれない。

【画像ギャラリー】アクセルもブレーキも「踏む」から「握る」へ!! なぜトヨタはランクル250からすべてのペダルを撤去する試みをするのか?(5枚)画像ギャラリー

 

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