さまざまな国の特装車事情を紹介する「世界の特装車」。これまでアメリカ、ヨーロッパを紹介してきたが、今回はアジア/オセアニア、ラテンアメリカ、アフリカの3地域の車載車事情をご紹介。国/地域で変わる呼び方にも注目だ!!
文/緒方五郎、写真/メーカー各社
アジア/オセアニアの車載車事情
インドネシアやタイ、インドといった国々はもともと自動車産業が盛んで、車載車はシンプルな固定荷台型が用いられてきた。だが近年は急速にスライド車載車が登場しているようで、複雑な荷台接地型さえ現れているなど高機能化の兆しがある。
一方、太平洋の先進国、オーストラリアやニュージーランドでは地場架装メーカー製のスライド車載車が普及している。オーストラリアには、ほかの国ではあまり見られない大型高床4軸のスライド車載車もあるようだ。
●アンティカラヤ「固定荷台型カーキャリア」
インドネシアの大手架装メーカー・アンティカラヤ社の固定荷台型カーキャリア。民間事業者や交通警察で一般的に用いられているタイプである。近年はスライド車載車の生産も行なっているようだ。
●タンタップ「トレイスライドカー」
タンタップはスライド車載車を主力とするバンコクの架装メーカー。スライド車載車を数種類ラインナップしており、荷台接地型も10年前に製品化している。
●マラヴィカ「ダイノ グラウンドゼロ」
マラヴィカは油圧機器メーカーを母体とするケララ州の新興特装車メーカーで、「ダイノ」ブランドのクレーン、車載車、レッカー車を生産。荷台接地型スライド車載車の「グラウンドゼロ」は荷台傾斜角3度を実現し、高級スポーツカーの搬送用に活躍している。
●イーケボル「TFS-18チルトトレイ」
オーストラリアの車載車は架装ベースがGVW11〜27.5トンと大きめなのが特徴。こちらは同国特有の高床4軸車載車の架装例で、GVW26〜32トン、最大積載量18トン、荷台傾斜角10〜14度というスペックを誇る。
ラテンアメリカの車載車事情
中南米のブラジル、アルゼンチン、コロンビア、メキシコなどの国々には、地場の車載車メーカーが存在。「一台積み車載車」の呼び方は国により異なる。ここで紹介する呼び方は本誌が独自が意訳したもので正確ではないが、なんとなくムードは感じられるはずだ。
●ファッシーニ「スーペルバイシャ救援プラットフォーム」
ブラジルでは車載車を「救援プラットフォーム」と呼ぶ。ファッシーニ社は同国の大手架装メーカーで、車載車は固定荷台型、スライド型、そして2015年に登場した写真の荷台接地型「スーペルバイシャ」を展開している。
●インカルヴィット「4/6トン救援ストレッチャー」
アルゼンチンでは車載車を「救援ストレッチャー」と呼称。インカルヴィットはサンタフェ州の特装車メーカーで、写真はフォルクスワーゲン・カミノス「デリバリー」をベースとするオーソドックスなスライド型。
●セダル「ローフロアクレーン」
コロンビアでは車載車を「フロアクレーン(あるいはフロアレッカー)」と呼んでいる。セダル社は首都ボゴタ近郊の架装メーカーで、写真の車載車はオーソドックスなスライド式。架装ベースは中国・福田汽車のGVW8.5トン車「オゥマークTX8514」の旧モデルである。
●ドゥアネス「KREYNアルマックス・プラットフォーム」
メキシコでは車載車を単に「プラットフォーム」と呼ぶ。ドゥアネス社はグアダラハラ市の近郊にある特装車メーカーで、写真の「KREYNアルマックス」はアルミ製スライドボディとホイールリフトを架装したモデルだ。