三重県松阪市において、市内の路線バスとコミュニティバスが無料で乗れる路線バス運賃無料デーが11月19日に行われた。2022年に計2日間実施された無料デーに続いたもので、2023年はこの日曜日の1日だけで実施された。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■長距離路線は始発からラッシュ状態!
朝7時にJR松阪駅にやってきた。ここから市内各方面へバスが出発していくが、最初に乗車するのはスメール行きのバスである。スメールとは市内でも山間部にあたる飯高地域にある宿泊施設のことで、全線乗車すると運賃は1730円である。
それが本日に限り無料なのでかなりお得だ。この路線の始発は7時26分でだが、それでも無料デー目当ての乗客が列を作りバスを待っていた。
定刻になり松阪駅前を出発した。途中からも何人か乗車があり、車内は通勤ラッシュのように満員になる。国道166号へ入り、やがて田畑の広がる地域を進む。
今日は沿線でイベントが開催されていたり途中の道の駅飯高駅では降りる際に館内で使える今日限定のクーポンが配布されたりと、バスを利用してもらうための取り組みも行われていた。
松阪駅前を出て約1時間半ほどで終点のスメールに到着した。折り返しのバスまで少し時間があるので周辺を散策してみた。山間部ということもあり、空気も冷たく感じる。紅葉の時期で近くの色付いたもみじを撮る人や、スメールで買い物を楽しむ人などもいた。筆者は再び松阪駅前行きのバスに乗車した。
■大石バスターミナル
スメールから乗車すること10分ほどの、大石(おいし)バス停で下車した。ここはバスターミナルと名称が付けられており、行き先は同じ松阪駅前であるが経由地の違う2方向のバスが出発していく。撮影のために見送り次のバスが来るまでしばらく待つことにした。
ちなみにこの大石バスターミナルは元々広い発着場があったわけではない。以前は三重電気鉄道松阪線の終点である大石駅があった。鉄道線としては1964年(昭和39年)に廃止され、その後施設を活用する形でバス停が設けられたようだ。
また三重電気鉄道は以前は三重交通の鉄道部門であったことからも三重交通のバスターミナルに転用されるのは自然の成り行きと言えよう(三重交通の鉄道部門であった頃は松阪電気鉄道という名称だった)。
そのため各所に当時の面影や遺構を見ることができる。敷地の入口には説明看板もあるので、訪問の際に合わせてご覧いただきたい。