クルマを買ってから、乗りっぱなしにしている人はいないでしょうか?
たしかに最近のクルマは耐久性が高くなり、クルマの平均寿命にあたる平均車齢は、乗用車が8.60年で26年連続で高齢化しています。
しかし、そうは言っても知らず知らずのうちに、クルマにダメージを与える運転をしていては平均車齢も短くなってしまう。
そこで、どんなうっかり運転がクルマをダメにするのか、モータージャーナリストの鈴木伸一氏が解説します。
文/鈴木伸一
写真/ベストカーWEB編集部 Adobe Stock
車庫入れ時の据え切りはアウト!
現在のクルマは、乗りっぱなしでも余裕で10万㎞、丁寧に走らせれば15万㎞を走破できるだけのポティンシャルは有している (ただし油脂類、消耗品の交換は必須) 。
それ以前の走行距離で壊れた場合、初期不良や無茶な扱いで寿命を縮めたり、引導を渡してしまった結果といえる。
例えば、車庫入れでガンッとストッパーに当たってこれ以上回すことができない「据え切り」状態まで、ハンドルを切ってしまうことがままある。
パワーステアリングが当たり前の現在、停止状態でも苦もなくハンドルが切れてしまうからだが、そんなハンドル操作を頻繁に繰り返しているとジワジワと足回りを傷め付けることなる。
油圧式のパワーステアリングの場合、油圧経路には常に高圧がかかっている。ステアリングをフルロックさせるとその圧力の逃げ場がなくなるため、さらに圧力が高まる。
そして、限界に達すればリリーフバルブが開いて圧を逃がしてくれるものの、パワーステアリングフルードは圧が高まるほどに発熱するため、頻繁に繰り返せばフルードの劣化を早めることに。
そんな劣化したフルードを使い続ける油圧シリンダーのシールを傷め、フルード漏れなどのトラブルを誘発することになるのだ。
また、ストッパーに当たっているにもかかわらず回し続ければ、ステアリングのリンケージ類に無用の負担をかけることになる。
その結果、ホイールアライメントの狂いを引き起こす可能性がある。さらに、コンパクトカーでも車重が1トンを超え、1つのタイヤに単純計算で250㎏もの荷重がかかっているわけで、停止状態でハンドルをグリグリ切ればタイロッドエンドのガタを誘発したり、アームがしなるなどフロントサスペンションにまで負担がかかるのは自明の理!
嘘だと思ったらパワーステアリングが動作しない状態にしてハンドルを切ってみるとよい。どれだけ無理して回しているかがわかるはずだ。
この足回りへの負担、近年主流となっている電動パワーステアリングにもいえることなので要注意!
とにかく、パワーステアリングはタイヤが路面から受ける衝撃を感じにくいため、知らぬうちに足回りにダメージを与えていることが多い。だからこそ、丁寧な運転を心がけたい。
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