「なんでこうなった!?」 開発した人を小一時間ほど問いただしてみたい、でも憎めない「ざんねん」なクルマたち、エピソードを集めた『ざんねんなクルマ事典』『ますます! ざんねんなクルマ事典』(小社刊)。
日本のクラシックカーや絶版車、珍車についての知識にも定評あるモータージャーナリスト、片岡英明氏監修による本書から、今や国産メーカーの超優等生。そんな現在の布石にもなった!? スズキのちょっとざんねんなクルマたち4台のストーリーをご紹介。
監修/片岡英明、写真/スズキ
■「2人乗りSUV」というあまりにも謎な、しかし前人未到の「挑戦車」 スズキ X-90(1995~1997年)
●前評判はよかった! 本気にしなけりゃよかった!?
スズキX-90はもともと、1993年の東京モーターショーなどに参考出品されたコンセプトカーでしたが、それが海外のプレス関係者などから妙にウケてしまいました。
「ならば!」ということでスズキは1995年10月、コンセプトカーほぼそのままのカタチでそれを市販。大ウケするだろうと期待したのですが、結果はさんざんで、約2年の間に1348台しか売れませんでした。
ちなみに同じスズキのスペーシアは1カ月間で1万台以上売れます。「2シーターのSUV」という謎のコンセプトが災いしたのでしょうが、X-90は少なくとも“伝説”にはなりました。
マニアの間では今なお人気なんですよ。
・発売年月:1995年10月
・エンジン種類:直4 SOHC
・総排気量:1590cc
・最高出力/最大トルク:100ps/14.0kgm
・全長/全幅/全高:3710×1695×1550mm
・車両重量:1100kg
・諸元記載グレード:ベースグレード
●ざんねん度:★★★★★
■あまりにもディーラー泣かせだった「魔の電子制御4速AT」 スズキ ワゴンRワイド(1997~1999年)
●トラブル頻発。クレーム殺到。
スズキ ワゴンRワイドは、1997年から1999年にかけて販売された、当時のワゴンRをベースに作られた小型トールワゴン。現在のスズキ ソリオのご先祖さまにあたります。
軽自動車であるワゴンRのボディをワイド化し、そして4気筒の1Lエンジンを積んだのはいいのですが、とにかくATのトラブルが多発しました。
「スズキ初の電子制御4速AT!」と売り出しましたが、雨あられのようにクレームが押し寄せ、ディーラーは大変だったようです。
・発売年月:1997年2月
・エンジン種類:直4 DOHC
・総排気量:996cc
・最高出力/最大トルク:70ps/9.0kgm
・全長/全幅/全高:3400×1575×1670mm
・車両重量:860kg
・諸元記載グレード:XM
●ざんねん度:★★★☆☆
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