富士24時間レースで賑わう富士スピードウェイ。そんななかトヨタが水素エンジンで戦う32号車の改良を発表した。2023年から液体水素で戦う同車だが、2024年は45kmの航続距離アップ、そして液体水素ポンプを改良したマシンで挑む。なんだかすごいぞ!!!
文:ベストカーWeb編集部/写真:KONDOレーシング(ベストカー塩川雅人)
■液体水素ポンプの改良で24時間走り切る
水素エンジンを採用するルーキーレーシングの32号車「ORC ルーキー GR カローラ H2 コンセプト」。水素エンジンは文字どおり水素を直接の燃料として駆動するものだが、この水素をタンクからエンジンまで運ぶののポンプが必要になる。
そこで使用されるのが液体水素ポンプ。しかしこのポンプに高い圧力をかけるため、ポンプを作動させるモーターにトルクを伝えるクランクのベアリングやギアに負荷が大きくかかっていた。耐久性の観点から2023年の富士24時間では3本のポンプを使った。単純計算で8時間のライフということになる。
もちろん交換するにも大きな時間が必要であり、今後の水素エンジンの信頼度アップのためにもこのポンプの耐久性向上を図る必要があった。
「デュアルドライブ」と命名された新しいポンプ機構はクランクの両端からモータートルクを入力することができ、偏った負荷がかかりにくいことで耐久性を大幅にアップしている。ちなみに富士24時間では無交換でのレースを予定している。この技術は確実に未来に繋がっていくだろう。
■新型燃料タンク採用による航続距離向上
また改良ポイントは燃料タンクにも及ぶ。これまで円筒だったタンクを楕円形に改良。単純に水素の搭載量が増えたことで航続距離の延長を実現した。タンク容量は2023モデルの1.5倍の220Lとなり、航続距離は90km程度から135kmへと伸びた。
富士スピードウェイでいえば従来型よりも約10周多い距離を走れるようになったことで、マシンとしても非常に魅力的になった。
さらにCO2回収装置も従来はメカニックが手動で吸着と脱離を切り替えていたが、新型は走行中にCO2吸着フィルターをゆっくり回転させることで、自動で吸着と脱離を繰り返すという。
近藤真彦選手を迎えて24時間レースに挑む32号車。世界最先端の水素エンジンの最先端技術をぜひ富士24時間で見てほしい!!
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コメント
コメントの使い方まさかまだ液体水素を諦めてなかったとは・・・。前回のインタビューから、もう気体水素に絞って市販化へ邁進するのかと思ってました。
液体水素も同時並行でチャレンジしていくとなると、当初言っていた26年や27年の水素エンジン市販化はかなり厳しいでしょうね。
早くて28年、そうなるとBEVの進化やトヨタの隠し玉・アンモニアエンジン実用化が追いついてきて立場が危うくなるやも。