台風15号により、千葉県ではいまだ断水や停電が続いている地区がある。東京電力が被災地支援のために、EVを約40台派遣したというニュースもあったが、すべての家庭をカバーすることは難しい。
そんな困った時に活躍してくれるのが、自宅にある愛車だ。EVほどのバッテリー容量はないが、エンジンをかけながらであれば、もっとも身近な発電機として活躍してくれて、電化製品を使用することも可能になる。
今回はレジャーだけでなく災害時にも役立つ、車載式インバーターを持っていなくてもシガーソケット(DC12V)から直接使用できる電化製品を、なにわのカーグッズ評論家が解説する。
文/松平智敬
写真/編集部
■大震災をきっかけに生まれた「電気炊飯器」
「あったかいご飯が食べたい」……多くの日本人が持つ思いを、クルマの中でもかなえてくれたのがこのグッズ。
最近は包装米飯のレベルも上がってきているが、やはり炊き立てのご飯を支持する声は大きい。機能が炊飯に特化されているために効率的ではないので、ディーラーオプションとなるのは難しく、カー用品店・バラエティグッズ店・通信販売などで購入するのが定番だ。
ヒット商品のひとつ、「タケルくん」(参考価格:4800円)は東日本大震災をきっかけとして生まれた、防災グッズとしての側面を持つ。今ではトラック運転手やアウトドア愛好家にファンが多く、その性能はかなり高いと評判だ。
電源はシガーソケットからとることができて、消費電力は110~120W程度と意外に小さい。炊飯量は1.5合(1~2人分)で、調理時間は炊飯30分と蒸らし10分で終了。コンパクトで収納しやすく使い方も簡単なので、秋の行楽シーズンにはもってこいのグッズである。
■クルマの揺れも問題なし「湯沸かし器」
車載用湯沸かしポットは40年以上前から販売されている、元祖車載家電グッズだ。電熱などでお湯を沸かすというシンプルな構造は、以前からそれほど大きな変化はない。
一番大きく変わったのは安全性である。なにしろ、誤ってかかれば大やけどをする100度近いお湯が沸くのだ。子供や高齢者が乗車し、ある程度揺れが予測できるクルマで使うには、相当の安全対策が必要だ。
若者からファミリーまで、比較的人気が高いのは「シリコンボトル電気ケトル」(実勢価格:約5200円)だ。沸かせるお湯の量は500mlで、温度設定は50℃と95℃の2モードがある。
ボトル底部はドリンクホルダーに収まる形状になっており、キャップは密閉型だから揺れに対する安全性もバッチリだ。
さらに、同タイプは蛇腹のシリコン製でコンパクトにたたむことができる。消費電力は約100Wに抑えられている。これからのシーズンに、持っていると便利なグッズだといえよう。
■夏も冬も活躍する「冷温蔵庫」
アウトドア需要が根強いこともあって、車載用冷蔵庫はディーラーオプションとして設定されるほど人気がある。当然、アフターマーケットでも古くから商品化されてきた。
当初はクーラーボックスの延長のようなもので、冷却性能や消費電力がイマイチなものも多く、「贅沢なおもちゃ」といった位置づけであった。
しかし、昨今は気化圧縮式(家庭用と同じ)・吸熱式(アンモニア式)・電子式(ペルチェ方式)といった冷却技術が進化し、高性能なものが増えてきた。なかには冷凍ができるものや、保温に切り替えられるものもある。
売れ筋は、コンパクトな省電力タイプの冷温蔵庫。「D-CUDE S」(実勢価格:約2万1600円)などはその代表格だ。横235mm×縦30mm×奥行30mmと小ぶりだが、庫内容量5.5L(500mlペットボトル4本分)の広さがある。
冷蔵5℃・温蔵60℃の性能を持ちながら、消費電力は42Wとわずかだ。
ほかにも、用途に合わせて各メーカーからさまざまなものが発売されている。
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