世界に衝撃を与えた日本のクルマ、日本人の美意識が行き届いたクルマ、日本人のことを考え抜いたクルマ。日本の環境や生活を考え尽くしたクルマ…。
一口に「ニッポンの心に響くクルマ」といっても、やはり色々あるものだなと思う。
ベストカーでもおなじみ、8人の自動車評論家の方々に、「今、日本人の心を打つクルマと言えば?」をテーマに現行の国産車からそれぞれベスト10を挙げてもらい、その内容をまとめてみた。
皆さんはどんなクルマを思い浮かべるだろう? その理由はなんだろうか? 思い比べながらお読みいただけると嬉しい。
※本稿は2019年8月のものです
文:鈴木直也、松田秀士、片岡英明、国沢光宏、小沢コージ、斎藤聡、渡辺陽一郎、岡本幸一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年9月10日号
■幕の内弁当のような魅力がある!(鈴木直也)
●鈴木直也が選んだ和のクルマ ベスト10
1位 マツダ ロードスター
2位 ホンダ N-BOX
3位 日産 GT-R
4位 トヨタ クラウン
5位 トヨタ 86/スバル BRZ
6位 トヨタ プリウス
7位 日産 ノートe-POWER
8位 マツダ マツダ3
9位 トヨタ RAV4
10位 スズキ スイフトスポーツ
日本人の美意識は幕の内弁当。さり気ないセンスで精密にまとまっているモノが好まれる。
1位ロードスターや2位N-BOX、4位クラウンあたりがまさにソレ。
ロードスターはあえて排気量ダウンまでしてバランスにこだわった美学が素晴らしいし、日本の特産物である軽自動車のワクに最高の実用性を凝縮させたN-BOXもお見事。クラウンも伝統的な日本の高級車という立ち位置が不変でいい。
ほかには、スイスポ、ジムニーあたりがこの路線。けっして高価なクルマではないんだけど、コンパクトにセンスよくまとまっている点が日本人の心を打つんだよね。
一方、3位R35 GT-R、6位プリウスあたりは、日本人が世界に誇れるクルマ。
それぞれ目指した方向性は異なるが、日本の技術の粋を集めたクルマというのが共通項。こういうクルマは日本でしか作れない。
■ロードスターは日本人らしい匠の一台(松田秀士)
●松田秀士が選んだ和のクルマ ベスト10
1位 マツダ ロードスター
2位 スバル WRX STI
3位 ホンダ シビックタイプR
4位 スズキ スイフトスポーツ
5位 トヨタ 86/スバル BRZ
6位 日産 スカイライン
7位 日産 フェアレディZ
8位 三菱 アウトランダーPHEV
9位 マツダ CX-5
10位 トヨタ アルファード/ヴェルファイア
86までの上位5車はそれぞれ輸入車にはない個性を持っている。ロードスターはあのコンパクトなボディに前後のサスペンションをはじめ、基本メカニカル型式は妥協せず。日本人らしい匠の1台だ。
WRX STIは4WDを高度にまとめ、エンジン縦置きでシンメトリーな前後左右の重量配分を達成。この2台は、そのメカを知れば知るほどに日本人の心を捉えて離さない。
FFでここまでやれることを証明したシビックタイプR。同じジャンルなら世界で1番にならないと気が済まない大和魂を感じる。
スイスポはこんなに安くていいのか? という優れたコスパ。社員の名刺もペラペラの薄紙を使うスズキ倹約魂だ。このマインドはデフレ慣れした日本人の心に刺さるよ。
86は見てのとおりでしょ! 楽しさを追求したらメーカーの垣根も越えてひとつになる。薩長同盟を彷彿させるクルマ界の明治維新だ。
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