そもそも道路標識はパッと見てすぐにその意味がわかるように考えられて作られているが、なかには「これってどっちだっけ?」と混同しがちなものもある。そこで今回は「よく似ているけど間違えやすい道路標識」について。
文/山口卓也、写真/写真AC、イラストAC
【画像ギャラリー】間違えると大変な道路標識って?(12枚)画像ギャラリー■道路標識には本標識と補助標識がある
本標識には“案内標識”“警戒標識”“規制標識”“指示標識”と4つの種類があり、補助標識は本標識の下に取り付けられるもの。この補助標識は本標識の意味を補足し、規制区間や時間帯、対象となる車両などを標示している。
●案内標識
一般道路では青色、高速道路では緑色で示され、路線名や行き先の地名などを案内する。
●警戒標識
黄色でひし形の標識で、踏切や交差点などの通行時における運転上の危険や警戒すべき状態を予告する。
●規制標識
速度制限や通行止めを示す赤い道路標識、歩行者専用や一方通行を示す青い道路標識があり、交通方法の規制を示す。
●指示標識
特定の交通方法の禁止、特定の交通方法に従って通行するよう指示する。
これらのうち、もっとも混同しがちなのが上で3番目に示した規制標識ではないだろうか?
■間違えやすい道路標識
パッと見てわかりやすいはずなのに、かなり紛らわしい道路標識が……。そのなかでも混乱度が高いと思われるのが、「車両通行止めと車両進入禁止」だ。
左は車両通行止め、右は車両進入禁止だが「結局同じ意味じゃん!」と思うなかれ。「車両通行止め」はすべての車両の通行を禁止しており、走行する方向に関係なく“通行自体を禁止”している。
右の“車両進入禁止”の道路標識は主に一方通行の出口に示され、一方通行の逆走を禁止している。つまり、正規の方向であれば車両の通行は可能だが、通行止めは方向に関係なくすべての通行が禁止される。
もちろん、両方とも軽車両である自転車も規制されている。
他にも、通行止めと車両通行止め、車両通行止めと駐車禁止など、シンプルな標識ゆえに勘違いしそうなものが多数存在する。
■勘違い率高し! 導流帯・立ち入り禁止部分・停止禁止部分
道路標示にも間違えやすいものがある。それが、導流帯、立ち入り禁止部分、停止禁止部分だ。
「導流帯」は車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所に標示され、交通量の多い交差点などに多く見られる。
自動車教習所では走行しないように指導しているところが多いが、道路交通法では進入が禁止されておらず、走行しても取り締まりを受けることはない。ただし、走行時は十分に注意すべき場所であることは確か。
次の「立ち入り禁止部分」は導流帯の回りが黄色の実線で囲われたもので、標示内側部分への車両の進入・通行・駐停車が禁止されている。
最後の「停止禁止部分」は消防署や警察署の前などで見られ、進路前方の車両等の状況によってこの部分で停止することになりそうな場合は入ってはならない。
■導流帯には要・要注意!
自動車教習所では走行しないように指導されることもあるが、道路交通法では進入が禁止されていない導流帯ではイラストのような事故が起こる可能性大。
このような事故の場合、「後続車(黒いクルマ)が突っ込んできた!」と過失割合は後続車のほうが当然大きくなりそうだが、この場合の「基本過失割合」は前車(赤い進路変更車両)が70、後続車は30となる。
同一方向に進行中、後続に直進車がいるにもかかわらず進路変更を行って事故を起こした赤いクルマのほうが基本の過失割合は高くなるのだ。ただし、運転者として「みだりに導流帯に入るべきではない」と考えるのが一般的な思考のため、後続の直進車に10〜20%の過失が上乗せ(前車60〜50、後続車40〜50へ)されることが多いのだが。
とはいえ、「導流帯に沿って進路変更したが、後続車が突っ込んできた!」と思ったのに自車の過失は相手と同じかそれより上……となりえるとは、いまひとつ納得できないドライバーも多いはず。これはぜひアタマに入れておきたい。
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