スポンジで塗布するタイプなら細かい塗り分けも簡単

呉工業のLOOXブラック&ブライトは、白化したPPパーツの微細な隙間に浸透する高輝度ケイ素系化合物や紫外線吸収剤、アルコールや石油系溶剤を成分とした未塗装樹脂用黒ツヤ復元コート剤である。撥水効果もあるため雨染みによる劣化も防止できる。

施工部分の汚れや油分、砂やホコリを洗い流してから、付属のスポンジにコーティング液を滴下する。少量でも広範囲に広がるので、スポンジをベチャベチャに濡らす必要はない。ウレタンの土台部分の両端が薄くなっているのは、狭い部分や曲面への追従性を重視したため。

ほんの少量塗っただけでも、コーティング液がPPに吸い込まれていくかのようなしっとりとしたツヤが出てくる。付属のスポンジは狭い隙間にもしっかり追従するので塗り残しづらいが、塗装部分との境界付近はあらかじめマスキングテープで保護しておくと良い。

縦に貼ったマスキングテープで比較するまでもなく、白化部分とコート剤塗布部分の違いは明らか。塗装だとどうしても「塗った感」が出てしまうが、コーティング剤はPPの質感を変えることなく白化によるみすぼらしさを改善できるのが魅力。

スポンジによる塗布でも比較的ムラは出ずらいが、先に水に浸して固く絞っておいた付属のクロスで塗布面を優しく撫でるように拭いてならしておく。塗りムラがなくなったら、12時間は触れたり水が掛からないように注意しながら乾燥させる。24時間でコーティングが完全に硬化する。

メーカー発表によるコーティング効果の持続期間は最長1年間で、ツヤを維持するには定期的な施工が必要だが、塗装のような準備が不要で気になる臭いもなく、クルマのバンパーほどの面積でも30分以下で作業できる手軽さと自然なツヤは大きな魅力。
防錆潤滑剤の5-56でお馴染みの呉工業が販売しているLOOXブラック&ブライトは、溶液タイプの未塗装樹脂ツヤ復元コート剤です。成分のケイ素系化合物はシリコーンとほぼ同義で、無機物と有機物の性質を兼ね備えており、PPのツヤ出しの適しています。
余談ですがシリコンとシリコーンは混同されることが多く、同じ物だと認識している人も少なくないでしょう。しかし前者はケイ素という元素単体の名前であり、後者は構成元素のひとつにケイ素を使用した化合物の名称となるため、実態はまったく異なります。
呉工業の製品を筆頭に、PP素材の光沢復活用ケミカルに使用されているケイ素系化合物はシリコーンなので覚えておくと良いでしょう。
製品ごとに独自性をアピールするツヤ復元ケミカルの中で、LOOXブラック&ブライトは紫外線や熱による白化を防止する紫外線吸収剤を潤沢に配合している点が特長です。
PPの白化の原因が紫外線や熱であることは先に説明した通りで、その影響を軽減するUV吸収剤を含有することで劣化保護効果を長期間持続させる狙いがあるようです。
とはいえ、一度塗布したら効果が未来永劫持続すると謳っているわけではありません。この製品の場合ツヤが持続する期間は最長で1年間で、定期的なメンテナンスが必要です。スクーターのステップボードなど広い面積に施工する際はスプレータイプの方が効率的に作業できる場合もありますが、逆に細かい部分に塗布する際はこの製品のようにスポンジに取り分けて塗り広げる方が余計な部分に付着せず重宝することもあるので、使い勝手が良い製品を選択すれば良いでしょう。
LOOXブラック&ブライトの場合、広い面積に塗布する場合は一度に塗りきろうとせず、部分ごとに区切って施工することが推奨されています。付属の専用スポンジに瓶入りの溶液を滴下して塗布すると、白くカサカサになったPP(ここでは自動車用のバンパーを使用)がしっとり黒く見違えるようになりました。
またこの製品ならではの特徴として、塗布後すぐに水で濡らしたクロスでなでるように拭く工程があり、それによってムラのない仕上がりになるのだと思われます。
この種のツヤ復元剤や光沢復活剤は塗装ではないため、、しっとりしたツヤや潤いは時間の経過と共に徐々に低下し、見栄えの良さを維持するには定期的に塗布する必要があります。しかしケイ素系化合物を継続的に塗布することで紫外線のダメージを軽減でき、単に経年劣化に任せるよりはPP素材自体が保護されるメリットがあります。
旧車や絶版車はともかく、新車であっても何年か後にはPPパーツが白化するのは納得いかないのは無理もありませんが、塗装されたパーツであっても定期的なワックス掛けやコーティングを行わなければクリア層のツヤがなくなり劣化が進行することを思えば、PPパーツの復元コート剤塗布についても洗車後のメンテナンスの一環として定期的に行うのが良いでしょう。
- ポイント1・未塗装状態で使用されるPPパーツは紫外線や熱によって表面が白くカサカサに劣化する「白化」が避けられない
- ポイント2・PPパーツの塗装は難しいがケイ素系化合物(シリコーン)を塗布することでツヤを回復できる
- ポイント3・光沢復活剤の効果は永続しないので定期的な塗布が必要
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/444465/
紫外線や経年劣化で白くカサカサになった未塗装樹脂パーツは専用ケミカルでツヤを回復【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=444465&slide=1
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