「愛はメッセージ。」(ラブ)
なんとスーパースターのマイケル・ジャクソンがカタログやCMに登場したバイクがあった……。1982年に発売されたスクーターのラブだ。
ラブは、爆発的なブームとなったスクーター市場に本格派のジェンマに続いて送り込まれた。女性や若者層を狙ったライト感覚の50ccで、スリムなフルカバードの軽量ボディとオートマ2段変速で運転がイージーだった。
キャッチコピーは「愛はメッセージ。」。車名とマイケルのキャラクターに掛けたストレートなコピーだ。
当時のマイケルは23歳で「スリラー」がメガヒットする直前。米国では大人気だったが、まだ日本ではさほど知名度が高くなく、日本のCMにはラブが初登場だった。とはいえ、当時の景気のよさが伝わってくる……!
テレビCMは2種類。「オフ・ザ・ウォール」をBGMに豪邸の屋上でマイケルが踊るバージョンと、「今夜はドント・ストップ」をバックに美女と踊るバージョンがあった。どちらも最後にマイケルが「Love is my message」とキメてくれる!
「BORN IN CIRCUIT」(GSX-R)
2眼ヘッドライトにハーフカウル、ヨシムラ譲りの集合マフラーという憧れの装備をまとい、1984年にデビューした4スト400ccレーサーレプリカこそ「GSX-R」だ。
当時、世界耐久や鈴鹿8耐でスズキのGS1000Rが旋風を巻き起こしており、GSX-Rの姿はまさに耐久レーサーそのもの。ライダーは騒然となったのだ。
カタログに採用されたコピーは「BORN IN CIRCUIT」。巷に溢れていたバイク小僧がこぞってサーキットに通い始めていた時代とあって、“レース直系”であることは何より魅力的だった。GSX-Rのキャラクターをダイレクトにアピールした名コピーと言えるだろう。
GSX-Rは、クラス初のアルミフレームをはじめ、いち早く採用した水冷4気筒エンジンを採用。クラス最強の59psと軽量な車重152kgを実現し、コピーのとおり、市販車ベースで争うTT-F3などレースでも強かった。
「BACK TO CIRCUIT」(GSX-R750)
「サーキットで生まれた」400ccのGSX-Rに対し、その翌年にデビューした上級モデルのGSX-R750では「BACK TO CIRCUIT」(サーキットに戻る)のコピーを採用。生まれた所に戻るというワケだ(笑)。
実際、その実力は圧倒的だった。ナナハンは車重210kg超がフツーだった時代に、市販車初の油冷エンジンなどで驚異の179kgを達成。全日本TT-F1で3連覇したほか、ルマン24時間耐久も制覇した。
現代に通じる軽量ハイパワーなビッグバイク=スーパースポーツの元祖的存在でもあるのだ。
「生まれたときから調子いい。」(ハイ)
80年代は、日本の有名芸能人もバイクの広告に登場していた時代。1985年にデビューしたスポーツスクーターのHi(ハイ)には、明石家さんまが起用された。
ハイは、6.5psを発揮する50cc空冷2ストエンジンと軽量な48kgの車体で走りはビンビン。足元スペースからリヤにかけて跳ね上がった「ハイヒップシェイプ」の造形や、カラフルな車体色が特徴だ。後にスズキファン垂涎のウォルターウルフカラーも追加された。
さんまは、お笑い芸人として既に「オレたちひょうきん族」でブレイクしており、テレビドラマ「男女7人夏物語」の放送前という時期。カタログの「生まれたときから調子いい。」は、ハイの走りのよさはもちろん、さんまのキャラも表したダブルミーニングなのが面白い。
テレビCMでは髪を立たせたビジュアル系ルックスのさんまが登場し、「ハイのハイのハイ」「新発ハイ」というフレーズでも有名になった!
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