北海道の十勝/網走地方。かつて同エリア間には、内陸経由で直通する鉄道が通っており、1989~2006年のわずかな間だけ、第三セクターが運営した鉄道事業者「北海道ちほく高原鉄道 ふるさと銀河線」があった。
(記事の内容は、2026年3月現在のものです)
執筆・写真/中山修一
※2026年3月発売《バスマガジンvol.132》『出張バスマガWEB』より
■平成に生まれて平成に消えた三セク線
「ふるさと銀河線」は、赤字線として廃止予定だった池田~北見間およそ140kmを結ぶJR池北線を受け継ぐ形で、1989年に第三セクターの路線へと肩書きを変えて再スタートを切った。
当初は通学利用が多かったことで好調な滑り出しを見せていたと言われる。ところがあまり長くは続かず、沿線人口の減少などから利用が低迷。
赤字経営が続き、資金調達の問題も大きく営業継続の見込みが立たなくなり、2006年4月に全区間が廃止となった。平成元年に生まれ、平成18年に役割を終えた、ごく短命の路線であった。
■代替バスの名手・十勝バスの「17系統 帯広陸別線」
鉄道廃止後は、国鉄/JR系の廃止路線と同様の代替バスに転換。2026年2月現在は2つのバス路線が元・ふるさと銀河線の行程を繋いでいる。その一つが十勝バスによる「17系統 帯広陸別線」だ。
「17系統 帯広陸別線」は、帯広エリアを起点に、延長約140kmのふるさと銀河線のほぼ中間地点だった、陸別までの間を結ぶ一般路線バスだ。便数は平日9往復・土日祝7往復のダイヤ設定。
帯広駅から真っ直ぐ向かって8kmくらい離れた場所にある、十勝バス本社南口が17系統の始発となっており、本社南口から47分ほどかけて、帯広市内をやや遠回りしながら帯広駅バスターミナルを経由する。
ふるさと銀河線の自社区間は池田~北見であったが、帯広まで直通してくる列車も若干あった。そのため17系統の代替バスの区間としては、感覚的に帯広駅バスターミナル~陸別間が相当する感じだ。
■指定車両は特になし?
車両面に注目すると、以前は「ふるさと銀河線」のディーゼルカーの標準色に似せた、指定車両的な1台が17系統を受け持っていたと記憶している。日野レインボーHRの幅2.3m、長さ10.5mクラス、いわゆる「中型ロング車」と呼ばれるタイプだ。
2025年9月の訪問時点では、専任の車が用意されているわけではないようで、大型路線車の2017年式日野 ブルーリボンが使われていた。過去に貨客混載の実証実験が行われた際の、貨物スペースがそのまま残されている特殊なバリエーションだったのが興味深い。
■三セク鉄道時代の面影があちこちに
帯広→陸別方向で見ていくと、17系統が出発して帯広市内を抜けると、内陸部を突っ切り帯広エリア~北見エリアを1本で繋ぐ国道242号をメインルートに、幕別→池田→仙美里→足寄と、ふるさと銀河線の通っていた経路をトレースするように進んでいく。山越えをするため、道筋は最後まで緩い上り坂が続く。
ふるさと銀河線の場合、鉄道遺構が記念モニュメント的に整備されているところが割とあり、バスに乗りながらも一部を観察して楽しめる。
駅舎だった建物をほぼそのまま転用したバス停留所があるのも見どころ。建物だけ継続して使うのは過去の代替バスによく見られたパターンだったが、最近は廃線になるとすぐ建物ごと片付けてしまうことは珍しくないため、元・鉄道施設のバス停というのも段々貴重になりつつあるかもしれない。

