町中に走っている路線バスに乗るとき、運賃は運転手に支払う…言われるまでもなく、それは私たちにとってごく当たり前の常識で、先払いか後払いかの違いはあるが、乗降の際に必ず支払うはずだ。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■昔は車掌さんが運賃を受け取っていた
かつて、後部ドア付近に車掌が乗務し、車掌が乗客から運賃を収受する「ツーマン車」が運転されていた時代もあった。
遠い昔、昭和時代の話かと思いきや、平成になっても残っていたことを筆者も最近になって知った。
しかも地方のローカル路線かと思いきや、東京23区内を走る都営バスで、運転席のある前部ドアを締め切り、中ドアだけを使って車掌が運賃収受を行っていたとのこと。
しかも筆者の地元に近い、渋谷営業所や目黒営業所だったそうで、知っていれば乗りに行ったのに…と今さらながらちょっと残念に思った。
■確実に運賃収受する日本の方式
とはいえ、それは本当に特殊な例で、日本の路線バスのほとんどは、平成の段階ですでにワンマン化されており、運転手が運賃収受業務も行う。
運転手への支払いは、乗車するときに運賃箱へお金を入れる「前払い方式」か、降車の際に支払う「後払い方式」に分かれる。
前者の場合、均一運賃で距離に応じて値段が変わらない会社・路線に多く、逆に後払い方式は乗車距離に応じて値段が変わる運賃変動制の路線に多い。
後払い方式の場合、乗車時に整理券を受け取り、その券に表示された番号や記号と運賃表示器の運賃を照らし合わせて降車時に払う。
区間によって細かく運賃が分かれる場合、整理券方式ならどこの停留所から乗車し、運賃はいくらというのが明確で分かりやすい。
ごく稀な例として、運賃前払いでも価格が異なり、乗車する際に行き先を告げて運賃を支払うという路線もある。
例えば、五反田駅~川崎駅間を走る東急バスの反01系統は、途中で東京都から神奈川県へ越境するため、県境から先は運賃が変わる。停留所の名前を知らないと、運賃を払う際に戸惑ってしまう。
運転手が運賃収受を行う方式は、全ての乗客から確実に運賃を徴収できるが、多くの乗降客がいる場合、停留所に停車する時間が長くなるという問題点がある。
お釣りの要らない、キリの良い金額ならあまり問題はないが、両替をしたり、変動制の運賃で小銭を数えたりとなると、停車時間が延びてしまう。
ICカードであればその不安は解消されるが、これも残高が不足していたりすると流れが滞る。
■運賃支払いは乗客任せの欧州方式
一方で海外へ目を向けると、特にヨーロッパの場合は「信用乗車方式」を取り入れている都市が多い。
以前、ここの記事でも簡単にご紹介をしたが、利用客が事前に券売機やアプリで乗車券を購入し、乗車する際には乗務員がいちいちチケットを確認しないセルフサービス式となっている。
乗客の皆さんを信用するから、どうぞお好きにご乗車ください、というわけだ。
しかし、それだと不正乗車が後を絶たないのでは?と思うだろうが、もし不正乗車が発覚すると、普通運賃の30~50倍以上という超高額な罰金が請求されるので注意が必要だ。
日本の場合、不正が発覚した場合は当該区間の運賃に加え、その2倍相当の金額を徴収する(つまり運賃の3倍)というルールが一般的。
30倍以上と聞くとぎょっとするが、「不正乗車は見つかった際にただでは済まない」ということを明確に示すため、このような高額な罰金となっている。



