豊田章男氏が社長就任直後から掲げていた「もっといいクルマづくり」。近年のトヨタからはそれに恥じない「いいクルマ」が次々と輩出されている。以前のトヨタ車からは見違えるほどの魅力を持つトヨタの「いいクルマ」をご紹介しよう。
※本稿は2026年8月のものです
文:山本シンヤ/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年9月26日号
「もっといいクルマ」はつくれているか?
かつてのトヨタはお買い得だが走りの魅力に欠け、プロダクトを見ると原価低減は「ケチって儲ける手段」と見られることもあった。ただし、実際はさまざまな制約から「やりたくてもできなかった」のが実情だった。
この見えない制約を破るべく豊田章男氏が掲げた経営ビジョンが「もっといいクルマづくり」である。
具体性がないので、社外だけでなく社内からも批判も出たそうだが、トップが答えを示してしまうと全員が同じ方向を向いてしまう。
そうならないため、「各々が考えるもっといいクルマ」を現場自身に模索、そして実践させることが大事だと考えたのだ。つまり、ハードではなくハートの意識改革が目的だった。
その改革は少しずつ花開いたが、既存のクルマをベースに改修を行なうやり方では限界があった。
そこで舵を切ったのがクルマづくりの構造改革「TNGA」と「カンパニー制」だった。加えてモータースポーツを開発の場として活用するなど、改革は止まらない。
では、実際にもっといいクルマを作れているのか? 走りの基本性能が大きくレベルアップしたのはもちろん、デザイン的にも“攻めた”モデルが増えた。
代表的なのは、従来のヴィッツより原価が下がったのに性能は段違いのヤリス、今やゴルフと肩を並べられるカローラ、そして若返りができたクラウンなどが挙げられるが、GRヤリスをはじめとするスポーツカーシリーズも充実。
その結果、供給不足の時でも「待ってでも欲しい」と思えるような魅力あるプロダクトばかりのラインナップになった。さらに個車ではなく群での戦略も相まって収益性も上がり、台数に囚われないビジネスも順調に進められている。
だが、ちょっと厳しい目で見ると、売れ線モデルは抜かりなしだが、トレンドを生むような新たな提案モデルはなかなか出てこないのも事実だ。
個人的には、スポーツ系以外のモデルでも“ワクワク”するようなモデルが生まれると、本当の意味で最強だと思う。
もっといいクルマの代表作は?
上でも少し触れたが、ヤリスとカローラが一番だろう。
先代型はどちらも「真っすぐ走らないのに曲がりたがらない」という駄作で、出張先のレンタカーでは絶対選びたくないクルマの代表格だった。
しかし現行モデルは月とスッポンくらいのレベルアップ。欧州のベンチマークモデルとガチンコで比べても決して負けていない仕上がりだ。
さらに、ミニバンのノア/ヴォクシーは、先代は運転するのが嫌になるくらいだったが、新型は走る/曲がる/止まる性能の大幅向上だけでなく、ずっと乗っていたくなる心地よさまで手に入れている。
多くの人が乗るクルマこそ「もっといいクルマ」であるべきだと思っているが、それをリアルに実現している。






















コメント
コメントの使い方