ナナサンマルの日に走る車歴44年!!2台のナナサンマルバスに密着取材!!

沖縄バスのナナサンマルバスは三菱ふそう製。存在感を放つ!!

 沖縄バスが保有するナナサンマルバスは三菱ふそうMP117Kで東陽バスと同じく1978年の『ナナサンマル』のために導入されたモデルである。ナンバープレート【沖22か1064】となっており、沖縄バスでは通称「1064号車」と呼んでいる。

 今回のルートは47番てだこ線と87番赤嶺てだこ線に投入された。1本目は87番の路線で朝6時25分に豊見城市にある豊見城営業所を出発し、那覇バスターミナルのある那覇市、終点沖縄療育園前の浦添市と3つ市を結ぶ路線を走行した。この路線もアップダウンが激しいルートなので、東陽バスと同様、黒煙を出しながら上り坂をしっかりと駆け上がっていた。終点がある浦添市の沖縄療育園前に到着すると、47番の路線へと切り替わる。方向幕は手巻き(東陽バスも同様)なので、位置を調整するために運転手さんと乗り合わせたバスファンらで方向幕の位置が間違っていないか、別の幕になっていないかなど一緒に確認しあう和気あいあいとした光景も見られた。行き先表示や系統を表示するサボ(行先標)も交換するため、現代のボタン一つでLED表示を変更できる仕組みとは考えられないひと手間がかかっている。

44年前に実施された『ナナサンマル』前までは左右反対の車線を車が走行していた沖縄県内だったが、78年7月29日の深夜から7月30日の早朝にかけて、一夜にして通行方向を逆転させた。交通量の多い那覇市内、これだけのクルマが走っていても沖縄バスの1064号車の存在感は抜群だ
44年前に実施された『ナナサンマル』前までは左右反対の車線を車が走行していた沖縄県内だったが、78年7月29日の深夜から7月30日の早朝にかけて、一夜にして通行方向を逆転させた。交通量の多い那覇市内、これだけのクルマが走っていても沖縄バスの1064号車の存在感は抜群だ

 沖縄バスのナナサンマルバスは先述した6時25分からほぼ毎時間の折り返しの運転を続け最終便は19時30分沖縄療育園前から豊見城営業所へ向かう路線で営業を終えた。

実は7月30日だけではない両社の運行、そして『ナナサンマル』当時の生の声

 7月30日にしかこのレトロなバスに乗ることができないのかと思いきや、意外な事実がある。実は両社とも動態保存を目的として、特段の事情がない限り毎週日曜日や祝日(場合による)に定期運行を行っているのだ。東陽バスは今年の7月30日と同様の191番で運行されるのが一般的だ。沖縄バスも定期運行を行っているが、2022年4月に行われた那覇営業所から豊見城営業所への移転(那覇営業所が老朽化などの理由により豊見城に機能を移転)したため、方向幕も新たに作成しなくてはならないため当面の間、営業運転が叶わなかったという。さらに冒頭でご紹介した「ちむどんどん」ではナナサンマルの際の「出演車」として活躍したため、4月以降数週間はロケ現場へ行っていたため、運用されていない事態に全国のバスファンらからは当初心配の声も上がっていたという。

44年という車歴からは想像もつかないパワフルな走りを垣間見ることができた東陽バスのナナサンマルバス
44年という車歴からは想像もつかないパワフルな走りを垣間見ることができた東陽バスのナナサンマルバス

 両社のバスの取材を行う中で、ナナサンマルを経験された県民の方々からもお話を伺うことができた。「ナナサンマルの時は小学生だったが、家を出たら車がそれまでと反対を走っていてびっくりした。学校で習ったけど目の当たりにしたら言葉が出なかった」「あの日、見物に行った思い出はずっと残っている」「家が農家だったが、親父が使っていたダットラ(ダットサントラック)が左ハンドルなのを思い出した」など、県民の方から様々なお話を伺うことができた。沖縄県へ旅行に行かれる方は、ぜひこれらのバスを一目見るまたは、またお乗りになられてはいかがでしょうか。また、ナナサンマルを経験したバスをいつまでも大事に維持し続けている東陽バスならびに沖縄バスの両社に敬意を表したい。

1972年5月15日の沖縄県本土復帰以前の県内の風景。右側通行でバスの乗降扉は当然右側。『ナナサンマル』以降はこのバスでは左側通行では使用できないため、県内各バス運行会社に向けて1000台以上の新車バスが発注され、導入された。これがいわゆる「ナナサンマルバス」である【写真・沖縄県公文書館所蔵】
1972年5月15日の沖縄県本土復帰以前の県内の風景。右側通行でバスの乗降扉は当然右側。『ナナサンマル』以降はこのバスでは左側通行では使用できないため、県内各バス運行会社に向けて1000台以上の新車バスが発注され、導入された。これがいわゆる「ナナサンマルバス」である【写真・沖縄県公文書館所蔵】
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