先日の記事でご紹介した『ナナサンマル』。本土復帰後も右側通行のままだった沖縄県の交通方法を日本式の左側通行に改める一大事業が実施されたのが1978年7月30日。それにちなんで『ナナサンマル』と呼ばれる。近年では沖縄県内でも薄れゆく認知度となってしまっているが、『ナナサンマル』当時に新車として導入されたバスを今でも保有する2社が路線バスとして走らせている。毎年7月30日にはこれを記念して営業運転されている。特にNHK朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」でも登場した沖縄バスのナナサンマルバスは一般の方の認知度も高く、走行していると道行く人々にスマホを向けられることも。当日の現地レポートをお届けしよう。
文・写真/有村拓真
【画像ギャラリー】ナナサンマルの日に走る車歴44年!!2台のナナサンマルバスに密着取材!!(8枚)画像ギャラリー東陽バスのナナサンマルバスこと日野RE101は今日も絶好調
東陽バスのナナサンマルバスは1978年製の日野RE101である。『ナナサンマル』のために1978年に東陽バスに導入され、今なお歴史の生き証人として活躍している。
車歴は44年となるが、その古さを感じさせないほどのエクステリアやインテリア、エンジンなどもしっかり手入れされており、新車のような状態を維持し続けている。ナンバープレートも当時のままで【沖22か・906】となっており、経年劣化で文字が薄くなっているが、非常にアジがある。
今年の7月30日は191番城間線で運行された。朝の7時、9時30分、12時15分馬天営業所発の3本の運行となった。このナナサンマルバスを保管している東陽バスの馬天営業所は路線経路が沖縄県の中南部をエリアとしており、今回の路線は出発地の馬天営業所がある南城市を出発し、与那原町、南風原町、那覇市、城間三丁目バス停のある浦添市までを結ぶロング路線だ。そこから引き続き馬天営業所へと戻る路線で、そのまま乗り続けると約2時間のバスの旅となる。
その車歴を感じさせないコンディションは走りも同様で、古いと侮るなかれ、速度もしっかり出るうえに、運転手さんの巧みなハンドルさばき(パワステなど存在しない時代)もあって素晴らしい状態を維持し続けられている。アップダウンの多い路線であるが、上り坂では黒煙をマフラーからモクモクと出しながら走行するその姿は、現代のバスでは見られない光景だ。
過去の7月30日のナナサンマル記念運行では、路線により両社のバスがすれ違うなどの遭遇もあったということだったが、今回は遭遇できそうな路線も1か所程度しかなく、何より交通事情などタイミングの問題もあり数分の差でそれが叶わないという悲しい出来事も・・。
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