走りのいいクルマと言えば、スポーツカーであり、ホットハッチであり、セダンだ。ルーフが高く、ボディは四角、車体に対して小さなタイヤを履くミニバンは、クルマの運動性能を語る上で、定石の逆を行く存在だろう。しかし、最近のミニバンは走りのレベルが非常に高い。特に中間層にいる車種の走行性能が、上級モデルに迫る勢いなのだ。
文:佐々木 亘/画像:ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】見た目も内装もいいのに走りも最高って……もうミニバン最強クラスだろ!(14枚)画像ギャラリー大きく変わったノアの乗り味! 曲がることが超楽しい!
現行のミドルサイズミニバンは、各社ともに走りのレベルが高い。セレナ・ステップワゴンは先代に引き続き走行性能を高めている印象を受けた。両者ともに、まっすぐ走るのに長けていて、力強い加速が気持ちいい。
ただ、ミニバンとして乗り比べた際に、先代との差が最も大きく感じられたのがノアであった。フワフワでユッラユラな先代に対し、現行型のノアは「どこをどうやったら、こんなにしっかりするの?」というくらい走りのイメージが変わっている。
今作からノアでも採用されたTNGAプラットフォームは、クルマの運動性能を飛躍的に高めた。高剛性ボディと相まって、クルマのヨレを感じることが無くなったと言ってもいい。
足回りのセッティングも基本に忠実というか、ミニバンのネガである「高さ」を感じさせない仕様になっている。フロントにストラット、リアにトーションビームという一般的なサスペンション構造だが、車体をフラットに保つ力がとても強い。また、コーナリング中のボディロールが極めて少なく抑え込まれているため、ミニバンなのに曲がることが楽しくなることには驚いた。
セレナとステップワゴンよりも、ノアは軽快に曲がる。ハイウェイドライブならセレナかステップワゴンを選ぶが、街中を走るなら迷わずノアを選びたい。それほどまでにノアは、目的地への曲がり角を一つクリアすることが、楽しさにつながるクルマなのだ。
【画像ギャラリー】見た目も内装もいいのに走りも最高って……もうミニバン最強クラスだろ!(14枚)画像ギャラリーアルヴェルとノアヴォクの差はエスコートされているかどうか
ノアを運転していると、ドライバーが受け取ることのできる情報がとても多いことに驚かされる。タイヤと路面の接地状況、ボディの動き、路面の状況までステアリングやシートにしっかりと伝えてくれるのだ。
こうした情報は、運転していて役立つしありがたい。操作に対するフィードバックが適切に行われているからこそ、より良質な運転は可能になるだろう。
ただし、この情報は2列目・2列目のパッセンジャーにも、しっかりと伝わってしまうのがネガにもなる。乗っている同乗者の不快感に繋がらなければいいのだが。
インフォメーションのしっかりした2列目シートは、ドライバーと同じ感覚を得られるからこそ、クルマに乗っている時間は能動的になり、車酔いが起こりにくくなるというメリットもある。ただ、静かにゆったりとクルマに乗せられたいという、ショーファー的な使い方には向かないクルマだ。
ショーファードリブンにも応えられる2列目シートは、アルファード・ヴェルファイアまでクラスを上げないと手に入らない。しかしながら、運転手とVIPといった乗り手の役割が付かないファミリーカーとして考えるなら、乗車している全員が同じ感覚を味わえるノアの方が優秀であろう。
一昔前のステーションワゴンやセダンから乗り換えても、何ら違和感の無い操縦性と乗り味が体感できるノア。最近ではラリーのベース車両にも選ばれており、いい走りは各方面からのお墨付きである。
ミニバンだから運転の楽しさは捨てなければならないというのは、昔のお話。今のミドルサイズミニバンは、ヘタなセダンよりもキビキビ走り、楽しいコーナリングを体感させてくれるぞ。
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