ありがとうKANSAI!! 稀代の日本人デザイナーとのコラボで生まれたスズキ車たち

 世界的な日本人ファッションデザイナーとして活躍した山本寛斎氏が、2020年7月21日、享年76歳にて永眠された。その活躍の場は、ファッションだけに限らず、イベントプロデュースや様々な商品デザインにも及んだことでも知られる。

 その中でも京成電鉄「京成スカイライナー」のデザインは、多くの人に知られる作品のひとつだ。

 そんな寛斎氏は、トータルコーディネイトを手掛けたスズキ車が存在したことをご存じだろうか。日本の美に拘った寛斎氏が手掛けた拘りのスズキ車たちを紹介しよう。

※記事内の山本寛斎氏の写真はベストカー別冊にて撮影したものです

文:大音安弘/写真:スズキ自動車、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】世界的デザイナー山本寛斎とスズキがコラボ!! その軌跡を写真で振り返る!!


■世界のKANSAIとスズキがコラボ

さる7月21日、76歳で亡くなられた山本寛斎氏。世界的ファッションデザイナーとして活躍した寛斎氏がトータルコーディネイトを手掛けたスズキ車が存在した

 自身がプロデュースを手掛けた今年7月31日のオンラインイベント「日本元気プロジェクト2020 スーパーエネルギー!!」の開催目前となる7月21日に、急性骨髄性白血病のため、76歳で亡くなられた山本寛斎氏。スズキとの縁も自身のイベントがきっかけであつた。

 スズキは、1997年にインド・ニューデリーで開催されたKANSAI SUPER SHOW「ハロー!! インディア」を後援。その後、山本寛斎氏サイドから、特別仕様車のトータルコーディネイトを手掛けたいという申し入れがあったという。

 そこで寛斎氏とスズキのコラボレーションがスタートする。その第一弾となったのは、スズキの軽クロカン「ジムニー」だ。

■ジムニーKANSAI(1999年)

1998年6月発売のジムニーKANSAIは、3代目ジムニーの最上級グレード「XC」をベースに内外装のコーディネートを行った

 1998年6月16日に発売された特別仕様車「ジムニーKANSAI」は、軽自動車のジムニーに、寛斎氏がジムニーの特徴である「機動性・力強さ」をテーマとした内外装のコーディネートを行った。

 3代目の最上級グレード「XC」をベースに、専用色となる「ウィローグリーン」と「サターンブラックメタリック」の2色を設定。ウィローグリーンは、ごく薄く緑がかった珍しいベージュ色で、砂漠を彷彿させるものであった。

ボディサイドにはエンジン仕様と山本寛斎プロデュースを示すステッカーを、リアにはKANSAIロゴ入りのスペアタイヤケースを装着

 外観では、標準車と異なるグリル一体型ボンネットを採用。ヘビーデューティな印象を強める格子状デザインが与えられた。これは輸出用ジムニーからの流用品によるカスタムだが、オプションで網目格子のグリルネットを用意するなど差別化も図られた。

 ボディサイドには、エンジン仕様と山本寛斎プロデュースを示すミリタリー調ステッカーを装着。この他、フロント部のスキッドパッドや黒メッキのサイドアンダーガーニッシュ、ボディ同色のKANSAIロゴ入りのスペアタイヤケースなどの専用用品がドレスアップのために用意された。

本革巻きステアリングやホワイトメーター、カーボン調インストルメントパネルなどに、寛斎らしさが遺憾なく発揮されていた

 寛斎らしさが遺憾なく発揮されたのが、インテリア。山本寛斎デザインの専用シート表皮とドアトリムは、個性的だがジムニーの躍動感や冒険心を刺激する元気溢れるもの。寛斎氏が、ジムニーのキャラクターをしっかりと捉えていたことが伺える。

 この他にも、特別仕様として、本革巻きステアリングやホワイトメーター、カーボン調インストルメントパネルなどが与えられた。価格は、146.8万円(5MT)と156.6万円(4AT)と、内容を鑑みると、お買い得感のあるものであった。

■Kei up to you KANSAI(2001年)

Keiの特別仕様車「Kei up to you KANSAI」は2001年11月、Keiの一部改良に合わせて設定された

 第2弾も軽自動車が選ばれ、個性派デザインの「Kei」の特別仕様車「Kei up to you KANSAI」が2001年11月14日、Keiの一部改良に合わせて設定された。

 おとなしいイメージの強いKeiを当時人気のあったアメリカンカスタム調に仕立てたもので、フルカラードの大型アンダーグリル付きフロントバンパー、ビレッドグリル、アルミホイール、クリアテールランプ、サイドスカートを専用品として装着。

 たった5点の外観パーツの変更だけで、立派なカスタムカーへと変貌させていた。ボディカラーは、キャッツアイブルーメタリック、パールホワイト、バニラベージュの3色から選択可能であった。

本革巻きのステアリングとATシフトレバー。ステアリングはブラックとブルーのコンビ仕様となり、デニム調のシートとドアトリムとのコーディネートが行われていた

 インテリアは、デニム調ブルーのシートとドアトリムが特徴で、本革巻きのステアリングとATシフトレバーが奢られた。ステアリングは、ブラックとブルーのコンビ仕様となり、シートとのコーディネートが行われていた。

 タコメーターも与えることで上級感も演出。当時、新開発のマイルドターボ仕様のMターボエンジンと4速ATを組み合わせた仕様で、価格は109.8万円(FF車)と121.5万円(4WD車)であった。

■エスクード/グランドエスクードKANSAI(2002年)

第3弾かつ最後のKANSAIモデルとなったSUVの2代目「エスクード」に設定された特別仕様車「KANSAI」

 第3弾かつ最後のKANSAIモデルとなったのが、SUVの2代目「エスクード」シリーズに設定された特別仕様車「KANSAI」だ。KANSAIシリーズの中では、車格を考慮し、最もシックなコーディネートかつ高級感も意識したものに仕上げられている。

 ベースは、5人乗りの2.0L直列4気筒DOHCエンジン搭載の「エスクード 5ドア2.0」と7人乗りの2.7LV6DOHCエンジン搭載の「グランドエスクード・ベースグレード」の2タイプを設定。

エクステリアは控えめで、装飾は限定的だ。オプションとして用意された存在感タップリのKANSAIロゴ入りのスペアタイヤボックス

 エクステリアは控えめな仕様で、装飾は限定的。ボディ同色のルーフレールやフロントグリルなどで一体感を演出。オプションとなるが、KANSAIロゴ入りのスペアタイヤボックスを用意。グランドエスクードだけの特別アイテムとして、KANSAIマーク付きアルミホイールセンターキャップが与えられている。

 ボディカラーは、ボディラインの美しさを強調する拘りの専用色「ブルーイッシュブラックパール」をはじめ、「パールホワイト2/シルキーシルバーメタリック」の2トーン仕様、「シルバーシルキーメタリック」のモノトーンの計3色を用意した。

寛斎氏デザインの専用シート表皮とドアトリムクロス。ステアリングやATシフトノブはもちろん、インパネやセンターコンソール、さらにフロアマットにも専用品が装着されている

 インテリアのコーディネートには、寛斎氏がデザインした専用シート表皮とドアトリムクロスを採用。エスクードは、ライトブラウンとグレーのコンビシートとブラウンの上質なファブリック仕様で、上級車のグランドエスクードには、同じ組み合わせの本革シートが奢られた。

 上質さを演出するアイテムとして、ステアリングやATシフトノブ及びトランスファレバーを本革巻き仕様とし、色もシートと同色をコーディネート。さらにインパネやセンターコンソールなどには木目調パネルを使用した。

 またフロアマットも専用品が標準装着されている。価格は、「エスクード5ドア2.0 KANSAI」が197.8万円。「グランドエスクードKANSAI」が、247.8万円であった。

■スズキ車に新たな価値を提案した

ベストカーの取材で気を利かせてポーズをとってくれる寛斎氏。世界のKANSAIの素顔は意外とお茶目なのだ。感謝の言葉と共に、今はただ冥福を祈りたい

 寛斎氏とスズキのコラボレーションは、3台のみとなってしまったが、クロカン四駆を中心にスズキの質実剛健な実用車を、個性的かつ洒落た雰囲気にしたてたのは、さすがKANSAIと、称賛の声を送りたくなる。

 特に、ジムニーKANSAIは、その特色を活かしながらも、カッコ良さ重視のカスタムに洒落っ気を加えた見事な一台であった。

 今のスズキ車は、ハスラーやジムニーに代表されるように、遊び心や洒落っ気など従来とは異なる価値を備えるようになった。もし寛斎氏が新型車をプロデュースしたら、どんなスズキ車が生まれたのだろうか。

 歴代コラボモデルを振り返ると、そんな思いに駆られてしまう。今はただ、そのご冥福を祈りたい。ありがとうKANSAI!

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