プリウス売れ行き半減!! ハイブリッドの立役者はもう役目を終えたのか

■2020年販売台数急降下..その理由は?

 トヨタでは2011年にアクアがプリウスと同様のハイブリッド専用車として発売され、この後はノーマルエンジンとハイブリッドを併用する車種が増えていく。

 カローラアクシオ&フィールダー(2013年)、ヴォクシー/ノア/エスクァイア(2014年)、シエンタ(2015年)、ヴィッツ(2017年)という具合にハイブリッドをそろえた。

 それでもプリウスの人気は根強く、小型/普通車の販売上位を守った。2012年は1位がプリウスで2位はアクア、2013年は1位がアクアで2位はプリウスだ。2015年にプリウスが現行型に刷新されると、2016年には再び1位に返り咲いた。

売れ行きが前年比半減!! どうした!? どうなる!?? プリウスはもう役目を終えたのか
トヨタアクア

 この後も堅調に売れて、2019年も1位になった。2019年の対前年比は108.8%で、前年に実施されたマイナーチェンジの効果もあり(不評だったフロントマスクやリヤビューを変更した)、売れ行きが少し伸びた。

 ところが2020年には1位から急落して、対前年比は53.6%だ。2020年度も前述の52.2%になる。クルマの売れ行きが急に減るケースは時々見られるが、小型/普通車の販売1位が翌年に半減するのは珍しい。背景には複数の理由があった。

 最も大きな影響を与えたのは、2020年5月に、トヨタが全店で全車を扱う販売体制に移行したことだ。プリウスは先代型から全店で扱われ、前述の通り好調に売れた。この優位性が2020年5月以降は失われ、ほかの車種に需要を奪われた。

 そこで2020年度の小型/普通車登録台数ランキングを見ると、上位10車にはトヨタ車が数多く並ぶ。この中には今まで10位以内に入ることのなかったハリアーもある。ハリアーは2021年3月に、月別登録台数が初めて1万台を超えた。ハリアーはプリウスのライバル車ではないが、好調に売れる車種が増えると、販売店のプリウスに対する営業力は低下する。

■プリウスの需要はカローラへ…

 しかも2019年から2020年には、売れ行きを伸ばすトヨタの新型車が数多く投入された。

 RAV4(2019年4月)、カローラセダン&ツーリング(2019年9月)、ライズ(2019年11月)、ヤリス(2020年2月)、ハリアー(2020年6月)、ヤリスクロス(2020年8月)という具合だ。

 これらの車種が好調に売れると、プリウスの営業力と売れ行きにも影響を与える。

 この点について販売店に尋ねると以下のように返答された。

 「以前はハイブリッドを買おうとすれば、プリウスかアクアの二者択一だったが、今はいろいろな車種がハイブリッドを用意する。特にカローラツーリングは、プリウスからの乗り替えが多い。価格は同程度で、カローラツーリングは設計が新しいために装備内容は上まわるからだ。

 荷室も使いやすい。また以前は環境対応を重視する法人のお客様が、外観を見ただけでハイブリッドと分かるプリウスとアクアを積極的に選んだ。しかし今はハイブリッドが普及して、プリウスとアクアに対するこだわりも薄れた」。

 カローラの登録台数は、前述の通り小型/普通車のトップレベルだが、そこには継続生産型のアクシオ&フィールダーまで含まれる。

 カローラシリーズ全体の数字だ。

 この中で販売比率が最も高いのは、2019年に発売されたワゴンのカローラツーリングになる。トヨタの調べた2020年の販売内訳によると、カローラシリーズ全体の48%をツーリングが占めた。

売れ行きが前年比半減!! どうした!? どうなる!?? プリウスはもう役目を終えたのか
現行型カローラ ツーリング 特別仕様車“ACTIVE RIDE”

 さらにツーリングの内訳も見ると、76%がハイブリッドだ。カローラセダンとカローラスポーツもハイブリッド比率が高く、カローラシリーズ全体の66%をハイブリッドが占めた。そうなるとプリウスの需要がカローラシリーズに奪われたこともあるだろう。

 同様のことがアクアにも当てはまり、2020年度の対前年比は52.7%と低迷した。アクアも発売時点からトヨタの全店で扱われ、膨大な販売網を生かして、前述の通り2013~2015年には小型/普通車の登録台数1位になっている。それが今は半減した。

 2020年に登場したヤリスハイブリッドは、燃費性能が抜群に優れ安全装備も先進的だ。トヨタの全店で扱われ、アクアの需要を奪った。

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