日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が国外逃亡してから1年半が経過しようとしている。一方、ゴーン氏の逮捕と前後して日産の業績は坂を転げ落ちるように悪化しており、2021年3月期は5300億円の最終赤字を見込む。
日本社会は、好き嫌いで人材を判断したり、権力を持っているかどうかで評価を180度変える傾向が顕著であり、彼についてもそれがぴったりと当てはまる。
トップ就任当初は「V字回復」「カリスマ経営者」と過剰に持ち上げたかと思えば、逮捕後は、民主国家においては絶対的なルールである推定無罪の原則も一切無視で、犯罪者と決めつける暴力的な議論一色となった。
筆者はゴーン氏ついて、特別に高く評価しているわけではないが、彼は、グローバル社会ではよく見かける強欲で、かつ相応の能力を持った経営者だと思っている。本コラムでは、彼が日産に何を残したのか考えてみたい。
文/加谷珪一(経済評論家) 写真/ベストカー編集部
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