蒸し蒸しして暑い梅雨の季節到来! 温度設定は25度が正解か?

エアコンの設定温度は25度が一般的?

はたしてエアコンの温度設定は最低の16度? 18度? よく言われている25度? 車内の温度設定を外気と同じ25度に設定した場合、エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化するというデータも出ている
はたしてエアコンの温度設定は最低の16度? 18度? よく言われている25度? 車内の温度設定を外気と同じ25度に設定した場合、エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化するというデータも出ている

 最近の日本車ではオートエアコンの設定温度を決めてしまって、後はほったらかしで済めばよいのに……と思うのは、ずぼらな性格の筆者だけだろうか。それでも多くのユーザーが設定温度をどう決めているかは気になるところだ。

 オートエアコンの基本となる温度設定は、ユーザーそれぞれの使用条件によって変わってくるのは当然として、世界8ヵ国の開発拠点と78の生産拠点を有する「カルソニックカンセイ」の見解(2017年8月10日広報資料)では、日本車は「25度」、欧州車は「22度」が温度設定の中心のため、この温度を基準にすることをオススメするとのこと。

 さらにネットの情報を漁ってみると、どうやら設定温度については25度に設定している人が約3割とトップ、24度に設定している人が2割程度というアンケートデータを見つけた。筆者自身は暑がりのせいもあって、24度に設定していることでも納得がいく。

 さらにいくつかの車載エアコンメーカーの技術論文を覗いてみると、車室内で人体の熱的な状態に影響を与えるのは、空気温度、放射温度、気流、湿度、着衣量、代謝量とされている。

 人間は恒温動物であり、代謝によって身体から生まれる熱を周囲の環境に放熱しつつ、常に体温を一定の範囲に収まるように制御する、ということになる。

 とはいえ、車両周囲の天候や車両内外の気温差、日射の強弱など、快適性を維持するのはそう簡単には行かない。カギとなるのは乗員がシートに座ったままで、自由に動き回ることができないという条件下で、キャビンの中で乗員それぞれが満足できる快適さが得られるように空調を制御する必要があることだ。

 だからこそ、前後左右席で独立した空調制御まで実施可能な車種、たとえばトヨタのアルファード/ヴェルファイアといった大型ミニバンで設定されることになるわけだ。

アルファードには後席エアコンの温度調整スイッチはもちろん、一人で運転している場合にエアコンの無駄を省くために運転席優先の省エネ空調の設定もある
アルファードには後席エアコンの温度調整スイッチはもちろん、一人で運転している場合にエアコンの無駄を省くために運転席優先の省エネ空調の設定もある

 ここでエアコンの基本構成に立ち返れば、冷媒(熱を伝えるための素材)を圧縮、冷却した後に放出すると圧力低下とともに温度が下がることを利用した機能を得るために、熱交換器とともに、HVAC(Heating, Ventilation and Air Conditioning)システムで構成される。この周囲の熱を奪う現象を利用して、熱交換機で空気を冷やし、熱交換機が結露することによって除湿を実現している。

 ちなみに、基本設定といえる室内の温度や湿度については、前述の論文中の試験モードなどを見ても、試験時の室内温度は25度、同湿度は50%というのが標準的のようだ。

 気象庁のHPを見ると、東京都の2020年6月の平均気温は23.2度、平均湿度は82%とされており、梅雨まっただ中の6月の外気の状況を含めて考慮すれば、これぐらいの設定基準でなければ、室内を快適だとは感じられないだろう。

外気導入と内気循環モードの使い分けとは?

コロナ禍もあり内気循環、外気導入モードの使い分けも重要になってきた
コロナ禍もあり内気循環、外気導入モードの使い分けも重要になってきた

 梅雨の時期の晴れ間も25度以上になることもあり、車内温度が上昇していることがある。そんな時に外気導入と内気循環モードの使い分けが必要になってくる。またコロナ禍もあり、外気導入と内気循環モードの正しい使い方はどうすればいいのか、気になるところでもある。基礎知識として覚えておきたい。

 例えば、真夏日の日中、直射日光にさらされた状態で駐車したクルマの車内温度は60度以上にも達する。外気温が22度程度でも、直射日光に曝されると温室状態になることで車内は高温となる。

 このように室内温度が外気温度より高い状態にあるとき、そのままエアコンを作動させるとフル稼働の時間が長くなり、燃費の悪化を招く。しかも、快適な温度になるまで時間もかかることにもなる。

 このようなとき、まず室内の温度を下げることが大切。窓を開けて換気することで外気温に近づけるのだ。そして、熱気がこもっている間は「外気導入モード」にしてエアコンを作動させればエアコンコンプレッサーがフル稼働する時間を短くなり、快適な温度に達する時間も短縮することができる。

 また、車内温度が十分下がって外気温よりも低くなったら、あるいは車内温度よりも外気温度が高い状況にあるときは「内気循環モード」に設定することでエアコンの負荷が減り、燃費向上につながる。

 ただし、「内気循環モード」のまま長時間運転していると換気が悪くなり、車室内のCO2(二酸化炭素)濃度が高くなって眠くなることがあるため、快適な運転をキープするために「内気循環モード」と「外気導入モード」は定期的(30分に1回程度)に切り替えながらドライブすることが肝心だ。

 またコロナ禍という状況の今、多人数乗車をした場合などは、窓開けや外気循環を頻繁に行ったほうがいいだろう。

 ■外気導入
・空気が綺麗な郊外などで外気を取り入れたい時
・空気の入れ替えをしたい時
・デフロストとも関連するが、窓が曇ってしまう時

 ■内気循環
・トンネルや先行車が古いディーゼル車など、汚い空気が車内に入ってくるのを遮断したい時
・夏場に駐車した後など、アツアツになった車内を素早く冷やしたい時

JAF公式:ドライブ中で、空調は「内気循環」「外気導入」どちらがいいの?

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