ちゃんと走るの…? 走りのプロ、修理のプロが中古50万円MINIを健康診断!

■駆動系になんらかのトラブルか!?

 走行距離10万km超の我が愛車ミニクーパーSを試乗してもらうと、まず内装のキレイさに驚いた様子。13年落ちの輸入車というとインパネの樹脂がとけてきて、ベタベタすることが多い。しかし、このクーパーSはべたつきがないうえ、接着剤も浮いていないのはスゴイと高い評価。

 そして、旧型MINIの弱点と言われているのが、運転席のシート座面とプラスチックの接合部が破れてしまうこと。しかしこのクーパーSはその症状が起きていなかった。

 いよいよ、試乗開始。開始早々竹岡氏から、この世代のクーパーSは電動パワステアリングだけど振動も出ているし、切り始めが重くて切っていくと軽くなる。元々MINIのハンドリングは非常にナチュラルで、ゴーカートフィーリングやオンザレール感覚と言われるように、ビシッとしている。しかしこのMINIはビシッとしていない。これは経年劣化なのか、それとも何かトラブルを抱えているのかチェックした方が良い、と言われた。

経年劣化なのか、それとも何かトラブルを抱えているのか…
経年劣化なのか、それとも何かトラブルを抱えているのか…

 そして、エンジンかミッションもしくはドライブシャフトか駆動系からゴロゴロという音が出ているとのこと。停止していても、ドアミラーが揺れるほど振動しているので、駆動系になんらかのトラブルがあるのではないかという診断が下った。

 タイヤの溝がないことを伝えると、直進安定性がイマイチなのはタイヤの影響も多少はあるはず。タイヤを交換して、アライメントを取り直したらもう一度チェックしたい。ということで再検査となった。

 一方で10万kmも走行しているのに、ボディはしっかりとしていて、やれている感じがない。エンジンやサスペンションなどをしっかりとケアすれば、MINIらしさが復活するはず。

 クーパーS本来のパフォーマンスから比べると50%くらいだけど、あと50万円かけてキチンとリフレッシュすれば、MINIらしさを100%取り戻せるはず。エンジンはまだ元気なのだけれど、異音と振動が本当に気になる。もしかすると見えない部分に病巣があるのかも。。。という不吉な言葉を囁いていた。

■緊急入院することに!

 竹岡さんのインプレッションに続いては、MINIを治すプロである東京都練馬区にあるガレージカメイ練馬にお伺いした。

MINIを治すプロ、東京都練馬区にあるガレージカメイ練馬
MINIを治すプロ、東京都練馬区にあるガレージカメイ練馬

 練馬区大泉学園町にあるガレージカメイは関東一円のMINIユーザーの駆け込み寺的存在で、取材に伺った日も初代そして2代目MINIが工場に並んでいた。

ガレージカメイは関東一円のMINIユーザーの駆け込み寺的存在
ガレージカメイは関東一円のMINIユーザーの駆け込み寺的存在

 メカニックの成田栄次氏にまずR56型クーパーSのトラブルで多い部分を聞いた。最も多いのがサーモスタッドとラインパイプからの冷却水漏れ。そして、タイミングチェーンが伸びたり、チェーンガイド・テンショナーが破損したりすること。

 これを防ぐためには、サーモスタッドとラインパイプは5万km、タイミングチェーンとチェーンガイド・テンショナーの交換は6万kmが目安で、これをほったらかしで走行するとエンジンが壊れて、ディーラーだとエンジン載せ替えで約150万円の費用が掛かるという。

 今回は成田氏に、入庫した際のチェックを行ってもらった。

 まず専用のチェック機器を繋いで診断を行うと、バルブタイミングに異常な信号があったことがデータとして残っていた。そのほか燃調が濃い程度で診断終了。

 続いては成田氏が目視でチェックしていく。ブレーキディスクは交換したばかりで問題なし。ブッシュ系やブーツも破れなどはなかった。エンジンの下回りでも若干のオイルにじみなどはあるが、急を要する必要はないとのこと。

目視ではブレーキディスク、ブッシュ系やブーツも破れなどはなかった
目視ではブレーキディスク、ブッシュ系やブーツも破れなどはなかった

 しかし診断中にエンジンを掛けたままにしていたら、マフラーから白煙がモクモクと出てきた。これは、バルブシールの劣化によるものということ。ひと通り、見終わると成田氏から「エンジン開けてみますか」と言われた。

 整備記録簿がないこと。タイミングチェーンの交換時期はどうなのかという不安と竹岡さんに指摘されたエンジンの異音や振動の原因があるかもと思い、意を決して開けてみることに。

MINIのエンジン
MINIのエンジン

 エンジンのヘッド部分を外していくとなんと!!タイミングチェーンのチェーンガイド・テンショナーが破損していた!

 成田氏曰く、「このまま走行していたら、年内でエンジンは壊れていましたね。ラストチャンスだったかも」とのこと。

 走行距離を考えると、一度は交換しているかもしれないが、チェーンガイド・テンショナーのアルミの部分が引きちぎられて樹種部分がエンジン内部に落ちているという状況でまさに不幸中の幸い。

 そしてそのまま50万円MINIはガレージカメイに緊急入院。そのままタイミングチェーンの交換と白煙の原因であるバルブステムシールの交換することになった。

次ページは : ■トラブルを未然に防ぐことが大きな出費を防ぐ

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!