ワンボックス敬遠組の心を虜にした! 初代オデッセイ(1994~1999年)
「えっ、あのホンダが!?」と、ホンダファンのみならず、日本中のクルマ好きを驚かせたのがオデッセイだ。発売当時はF1撤退後直後だったこともあり、ホンダの大幅路線変更かと大きな話題になった一台だ。
オデッセイの最大の功績は、日本において「ミニバン」というジャンルを定着させたことだろう。とにかく、オデッセイは既存のミニバンのイメージを一新する斬新なクルマだった。
オデッセイの革新性の源は、プラットフォームを乗用車であるアコードと共有したことにある。その結果、走りはセダン、居住性はワンボックスカーと、両車の良いとこ取りをしたクルマが誕生したのだ。見た目のスマートさとは裏腹に、自由に席を移動できるセンターウォークスルーを採用するなど、居住空間はワンボックス並み。室内空間は広いに越したことはないが、ワンボックスカーに乗ることには抵抗があるというユーザーの心をたちまちわしづかみに!
ミニバンが乗用車のプラットフォームを使用するなど、どのメーカーも当時は考えつかなかったことだったはずだ。実は業績不振による開発費の削減のための苦肉の策だったのだが、それが功を奏し、新車登録台数の累計台数43万3028台というメガヒット。排気量2リッター以上の普通乗用車クラスの絶対王者だったクラウンを抜くほどの販売台数を記録した。
ちなみに、当時大ヒットしたハリウッド映画の「アダムスファミリー」の出演者が総出演するという超豪華なテレビCMもオデッセイ人気のテコ入れに貢献したことは間違いないだろう。
「コンパクトカーは狭い」のイメージを払拭 初代フィット(2001~2007年)
2001年にデビューした初代フィットの第一の注目ポイントは、薄型の燃料タンクを車体後部ではなく中央に設置する「センタータンクレイアウト」。現在は、ホンダの主力車種のほとんどに採用されている技術だが、初採用されたのが初代フィットだ。この技術はホンダが特許を取得している。
センタータンクレイアウトの採用により荷室の床低化が容易となり、コンパクトカーとは思えぬ快適なスペースユーティリティを確保することに成功した。
さらに、低燃費もフィットのウリだった。エンジン出力のロスを軽減する新世代1.3リッター4気筒「i-DSI」エンジンを搭載することで23km/L(10・15モード)という低燃費を実現。この燃費は、当時の世界最高水準。これで車両本体価格が106万5000円~132万5000円と、コスパの高さも群を抜いていた。
2002年には110psを発揮する1.5リッターVTECの直列4気筒SOHCエンジン搭載車も追加。走行性能も強化され、より幅広い層からの支持を獲得した。
そして同年、1カ月平均の新車登録台数が2万台超というビッグセールスを記録。カローラが33年間に渡り守り続けた新車販売台数1位の座を奪うという快挙を成し遂げた。「2001-2002日本カー・オブ・ザ・イヤー」と「2002RJCカー・オブ・ザ・イヤー」をダブルで受賞している。
クロスオーバーSUVの先駆者 ヴェゼル (2013~2021年)
3代目フィットのプラットフォームをベースに開発されたコンパクトSUV。オデッセイがミニバンというジャンルを定着させたように、ヴェゼルは、クロスオーバーSUVというジャンルを定着させた一台だ。前述のとおり、ホンダの主力車種のなかでも最もコンパクトなフィットをベースしようという発想がすでにホンダらしい!
さらに、ハイブリッド車には、ホンダ独自開発の「SPORT HYBRID i-DCD」を採用した点も特筆点と言えよう。112kW(152ps)を発生し、従来型のハイブリッド車の走りのイメージを払拭するような高い動力性能を発揮すると同時に、27.0km/L(JC08モード)の低燃費を実現するなど、既存のSUVのイメージを覆す一台となった。
セールス的にも大成功を収め、2015年には上半期のSUV新車登録販売台数で第1位を獲得し、その後2016年度まで3年連続で首位をキープするという大ヒットモデルに。
2016年2月のマイチェンで「Honda SENSING」を採用するなど、進化を続けながらも初代は2021年3月で生産終了。2代目へとバトンは引き継がれ、その2代目も発売から約1カ月の受注台数は月間販売計画の6倍以上の3万2000台を超と、絶好調。ホンダの屋台骨を支える主力車種のひとつとなっている。
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