ロッキー&ライズのe-スマートHV コスパ抜群か徹底検証してみた!!

■ノーマルとの価格差あれど、e-スマートハイブリッドを選ぶ価値は十分あり!

新開発1.2L、3気筒エンジンを発電専用としモーターのみで走行するシリーズ方式のe-スマートハイブリッド。28km/Lの低燃費を実現
新開発1.2L、3気筒エンジンを発電専用としモーターのみで走行するシリーズ方式のe-スマートハイブリッド。28km/Lの低燃費を実現

 そしてe-スマートハイブリッドのWLTCモード燃費は前述の28km/L、1.2Lノーマルエンジン(2WD)は20.7km/Lだ。レギュラーガソリン価格を1L当たり150円で計算すると(今の170円近い価格は高すぎる)、1km当たりの走行コストはe-スマートハイブリッドが5.4円、1.2Lノーマルエンジンは7.2円だ。

 e-スマートハイブリッドの走行コストは1km当たり1.8円安く、燃料代の節約によって28万円の実質差額を取り戻せるのは、15~16万kmを走った頃だ。

 1.2Lノーマルエンジンも新開発でWLTCモード燃費が20.7km/Lと優れており、1.5Lノーマルエンジンを搭載するヤリスクロスの18.8~20.2km/Lを上まわる。そのためにe-スマートハイブリッドとの燃料代の差額があまり拡大せず、実質差額を取り戻せるまでに15万~16万kmの走行を要することになった。

 それでもe-スマートハイブリッドは選ぶ価値が高い。1.2Lノーマルエンジンと比べた時の燃料代の差額は少ないが、前述の通りSUVのハイブリッドでは価格が安く、なおかつ燃費性能も優れているからだ。

e-スマートハイブリッドにはいわゆるワンペダル運転も可能なSペダルを装備。日産e-POWERと同様アクセルを離すと回生によりブレーキと同様の効果が得られる。ただクセは強く慣れが必要だ
e-スマートハイブリッドにはいわゆるワンペダル運転も可能なSペダルを装備。日産e-POWERと同様アクセルを離すと回生によりブレーキと同様の効果が得られる。ただクセは強く慣れが必要だ

 またe₋スマートハイブリッドは、モーター駆動とあって瞬発力が強く、加速性能も良好だ。Sペダル(スマートペダル)も用意され、この機能を使うと、アクセルペダルを戻すと同時に強めの回生が行われる。

 e-POWERのエコ/スポーツモードと同じく、駆動用モーターが積極的な発電を行って、リチウムイオン電池に充電する。そのためにSペダル作動時には、アクセルペダルを戻すと同時に強めの減速も行われるから、アクセル操作だけで速度を幅広く調節できる。いわゆるワンペダルドライブが可能だ。

 ただしe-スマートハイブリッドでは、フットブレーキとの協調制御が行われていないから注意したい。カローラクロスなどが搭載するトヨタのTHSIIでは、アクセルペダルを戻した時に強めの減速力が生じるBレンジでなくても、ブレーキペダルを踏めば回生による充電が行われる。

 ブレーキペダルとハイブリッドシステムが協調しているからだ。開発者は「減速G(減速の仕方)が同程度であれば、Bレンジを使ってもフットブレーキでも、回生量は同等になる」という。

 ところがe₋スマートハイブリッドやe-POWERは、コスト低減のために協調制御を採用していない。そうなるとe-スマートハイブリッドではSペダル、e-POWERならエコ/スポーツモードを使わないと、回生による充電効率が下がってしまう。

 e-POWERの開発者によると「約20%のお客様は、エコ/スポーツモードで生じる強めの減速が使いにくく、Dレンジのノーマルモードで走っている。

 エコ/スポーツモードに比べると、燃料消費量が増える傾向にあり、この解決は今後の課題」としている。e-スマートハイブリッドは、THSIIに比べて低価格だが、省かれる機能もあるわけだ。

■気になるロッキー/ライズの価格だが若干の価格差が発生する

小型車でフルハイブリッド搭載車を開発・発売するのはダイハツの悲願であった。システムやコストを極力抑え、価格差に見合った燃費も実現する。その最適解はこのシステムだったのだろう
小型車でフルハイブリッド搭載車を開発・発売するのはダイハツの悲願であった。システムやコストを極力抑え、価格差に見合った燃費も実現する。その最適解はこのシステムだったのだろう
ロッキーe-スマートハイブリッド搭載車の価格は、「X」が211万6000円、「プレミアムG」が234万7000円。プレミアムGには、ホールド機能付きの全車速追従ACCとLKC(レーンキープコントロール)が備わる
ロッキーe-スマートハイブリッド搭載車の価格は、「X」が211万6000円、「プレミアムG」が234万7000円。プレミアムGには、ホールド機能付きの全車速追従ACCとLKC(レーンキープコントロール)が備わる
トヨタライズの価格表。ロッキーよりもライズのほうが若干高い
トヨタライズの価格表。ロッキーよりもライズのほうが若干高い

 価格については、ロッキーとライズの差額も気になる。両車は基本的に同じクルマだが、装備と価格の組み合わせが異なるから、細かくいえば割安感にも優劣が生じる。

 両車ともe-スマートハイブリッドには2つのグレードを用意する。この内、ベーシックなグレードは、ロッキーハイブリッドX(211万6000円)とライズハイブリッドG(216万3000円)だ。

 アウタードアハンドルがロッキーはボディ同色、ライズは上級のハイブリッドZと同じメッキになるといった違いはあるが、価格には4万7000円の差が生じている。そこを考えるとロッキーハイブリッドXが若干割安だ。

ロッキーのインパネ。マイナーチェンジで電動パーキングの採用によりセンターコンソール部の造形が大幅に変更となった
ロッキーのインパネ。マイナーチェンジで電動パーキングの採用によりセンターコンソール部の造形が大幅に変更となった
ライズのインパネもほぼロッキーに準じた変更となっている
ライズのインパネもほぼロッキーに準じた変更となっている

 上級のロッキーハイブリッドプレミアムG(234万7000円)とライズハイブリッドZ(232万8000円)を比べると、ベーシックグレードとは逆にロッキーが1万9000円高い。

 ライズハイブリッドZのシート生地はファブリックだが、ロッキーハイブリッドプレミアムGには、ファブリックと併せてソフトレザー調シート表皮も使われるからだ。内装にもソフトレザー調の素材が用いられ、質感には1万9000円以上の差がある。そうなると両グレードともにロッキーが割安だ。

 両車の割安感に差が生じた背景には、営業費用の違いがある。ライズはトヨタ車だから国内の約4600店舗が扱う。その点でロッキーは販売規模が小さく、軽自動車が中心のメーカーだから、トヨタに比べて営業コストも抑えられている。従ってロッキーが少し割安になった。

 しかし実際に購入する時は、販売店の事情も影響して、少額ではあるが値引きなどに差が生じる。下取り車がある時は、その買取額も変わる。残価設定ローンを利用するなら、返済期間満了時の残価(車両の残存価値)や金利にも差があり、ロッキーが必ずしも割安になるとは限らない。

 そこで購入時には、ロッキーとライズの両方から見積りを取って比較したい。またヤリスクロスハイブリッド、ヴェゼルe:HEVなど、ほかのコンパクトSUVのハイブリッドにも試乗する。そうすればロッキー&ライズeスマートハイブリッドを客観的に評価できるわけだ。

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