“なんちゃってスーパーカー”で終わった!? 「デロリアン・DMC-12」
1981年から1982年にかけてデロリアン・モーター・カンパニーから販売されたデロリアン・DMC-12。1985年に公開された、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するタイムマシンの改造ベースとなった車両として登場して一躍有名になった。ジョルジェット・ジウジアーロの手による前衛的なデザインが話題となった。
しかし、約1600万円と高額なうえに、ステンレス製のボディは1233kgと重い、なのに150 hp(ヨーロッパ仕様)と非力。だから遅いというスーパーカーと呼ぶには「?」が付く動力性能。おまけに、ドアから下がったベルトを引いて閉めなくてはならないというドアの開閉に体力を消耗する激重ガルウィングドアは大不評。たった1年ほどで生産終了となってしまった……。それでも、約8500台が製造された。
ということで、デロリアン・DMC-12はセールス的には大失敗だったが、映画の大ヒットにより、クルマに興味がない人にもデロリアン、そしてガルウィングドアという名称を知らしめることになった。
もしかしたら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開年まで生産が続いていたら、もう少しセールス的に成功を収めることができたかも!?
唯一無二だったの軽自動車ガルウィング「オートザム・AZ-1」
乗降用途としての純粋なガルウィング持つ市販車は、マツダのAZ-1と、AZ-1のOEM車であるスズキ・キャラのみだ。
ちなみに、過去にウォークスルーバンのダイハツ・ミラ ミチートという移動販売車も発売されていたが、このドアに関しては乗降用途ではなく、基本は対面販売や荷物の積み下ろしなどが目的だった。
1990年に登場したトヨタ・セラから約2年半ほど遅れての登場となったものの、当時のインパクトは強烈だった。ガルウィング、それも軽自動車がガルウィングを採用するなど、世界的にも前代未聞のビッグチャレンジだった。
課題とされていた横転時の安全性は、マツダが安全性を証明するための実証実験を実施して安全性を証明してクリアした。
一時は、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノとともに「ABCトリオ」ともてはやされたものの、ライバル2モデルと比較してガルウィングドアにばかり注目が集まり、肝心の走行性能部分にはスポットが当たることが少なかった。それもあってか、販売台数は伸び悩み、たった3年で姿を消すことになってしまった。
クロスオーバーSUVがガルウィング!? 型破りの「テスラ・モデルX」
日本では久々のガルウィングモデルの販売となったのがテスラのEVクロスオーバーSUV、モデルXだ。
ただし、テスラはガルウィングドアとは呼ばず「ファルコンウィングドア」と呼んでいる。ちなみに、前席は通常のドアで、後席部分がファルコンウィングドアとなっている。
ファルコンウィングドアが既存のガルウィングと異なるのは、ガルウィングドアの折れ曲がる部分であるヒンジがひとつなのに対し、ファルコンウィングドアのヒンジはふたつという点。その結果、開閉時のスペース問題をクリア。両サイドに隙間が30cmほどあればドアを開閉できるため、狭い駐車スペースでも利用できるのだ。
このドアの実用性に関しては評価は高く、ガルウィング採用の量産モデルとしては成功した部類に入るだろう。
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