上部に跳ね上がるようにして開くガルウィングドア。実は、純粋にガルウィングを採用しているクルマは意外なほど少ない。
ガルウィングドアを採用するクルマから連想するのは、ランボルギーニ・カウンタックのようなスーパーカーだろうが、カウンタックのドアは正確にはガルウィングドアではないのだ。
今回は、このように勘違いされていることが多い、ガルウイングドアについて検証してみたい。
文/藤原鉄二、写真/トヨタ、テスラ、Lamborghini、McLaren、FavCars.com、Newspress UK
【画像ギャラリー】没個性じゃないクルマが勢ぞろい!(17枚)画像ギャラリー正真正銘のガルウィングドアを持つクルマは意外と少ない!
ガルウィングのガルとは、「かもめ」という意味で、ドアを開けた時にかもめが翼を広げているように見えるスタイルを持つのが本来の意味ではガルウィングと言える。
純粋なガルウィングドアを持つクルマはというと、代表的なのはメルセデスベンツ・300SLやデロリアン・DMC-12。
具体的には、ドアヒンジがAピラー付け根周辺にあって、前上方に持ち上げて開くドアは、「シザーズドア」と呼ばれている。ちなみに、シザーズとははさみという意味だ。ランボルギーニ以外では、童夢零、ブガッティEB110などが採用している。
もうひとつは、シザーズドアと構造はかなり似ているが、Aピラー付け根周辺とルーフなどにヒンジがあり、ドアを前上方にひねるようにして開く構造を持つのが「バタフライドア」マクラーレンF1、エンツォフェラーリ、ラフェラーリ、BMW i8などがバタフライドを採用している。トヨタ・セラのドアもバタフライドアに分類される。
他に、ドアが外に少し開いた後に垂直に回転して開くという少し複雑な動きをする「ディヘドラル・シンクロ・へリックス・アクチュエーション・ドア(ラプタードア)」、少し斜め上方向に開く「スワンドア」、一体化したドアとルーフが上に持ち上がる「キャノピードア」など、似て非なる方式が存在する。
ガルウィングはかっこいいけど、使い勝手が悪すぎる!?
ガルウィングドアは元来、レース中のレーサーが乗降しやすいようにと採用されたシステム。もちろん、市販車であっても乗降のしやすさを求めるなら、ガルウィングがベストと言える。
しかし、ガルウィングドアが普及しない原因のひとつはコストがかかりすぎるという点。通常のドアよりもルーフ部分の補強が必要だったり、取り付け行程が増えることがコスト増につながってしまうのだ。
横転時に脱出が困難になってしまうという安全面での問題も障壁となっている。
また、ドアの開閉時には車両の上方向にかなりのスペースが必要なため、天井の低い場所ではドアが開閉できなくなってしまう……。さらに、身長の低い人や非力な人はドアの開閉にかなり苦労するという難点も。
ここからは、良くも悪くもガルウィングドアを持つことで熱い注目が注がれた4台をピックアップしてご紹介しよう。
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