■天皇陛下の公用車、御料車の最新事情
現在、御料車として管理されるクルマは現役最多となる13台を数え、皇室用ナンバーのものと品川ナンバーのものが混在している。侍従職用(天皇皇后両陛下)は11台で、皇ナンバーは皇1・2・3・5を付けたトヨタセンチュリーロイヤル4台をはじめ、皇7・14を付けたセンチュリーGZG50や、皇8・9・13を付けたセンチュリーハイブリッドが登録される。
一方の上皇職用(上皇上皇后両陛下)は2台で、いずれも品川ナンバーを冠する。このほかに、センチュリーVG45防弾車とトヨタクラウンハイブリッド(H24年式)が、いずれも品川ナンバーで登録され、合計総勢13台を数える。
ハイブリット仕様のセンチュリー御料車1台の購入価格は、車両単価1815万円に対し特別架装などを施し約3400万円を計上。特別架装には、後席シートの一体型の3席クッションや、後部天井に室内灯2個設置(運転席操作)、後席アシストグリップを横置きから縦置きに変更、電動リアカーテン、脱着式後部ドアカーテン(収納ケース付)、消火器(ラゲッジルーム設置)、旗竿取付用台座(ボンネット)、皇ナンバー取付金具などを含む。
センチュリーロイヤルは、2006~2010(平成18~22)年の間に誕生して以来、車齢が11~15年が経過したこともあり、1回目となる延命工事を実施済み。この特別整備は、動力伝送装置、制動装置のほか主要機能を交換した。具体的にはプロペラ及びドライブシャフト、サスペンション、ギアボックス、ポンプ、ブレーキブースタ、ホイールシリンダの交換を1台あたり330万円投じて行なった。寝台車(病患輸送車)として登録されるロイヤルも、同様の額を投じて令和2年に特別整備が行われている。
祝賀御列の儀(パレード)で使用したセンチュリー特装車「オープンカー御料車(DAA-UWG60改)」は、予算額8000万円(正規購入価格非公表)で内閣府によって購入された。令和元年9月26日に内閣府から宮内庁に管理替えされ宮内庁の所有となり、第6号御料車、皇ナンバー10として登録された。パレードで使用ののち、令和元年11月27日に再び宮内庁から内閣府へ管理換えされ、以後は宮内庁の御料車ではない。
なお、内閣府へ返納した際には、菊華御紋章類は取り外された。このような管理替えによる御料車の購入は、平成御大礼のパレードで使用されたロールスロイス・コーニッシュⅢを前例とするが、この時は宮内庁が引き取って御料車として所有しため、総理府(当時)への返納は行われていない。
■保存されるクルマたち
宮内庁の車馬課車庫で保存されるクルマは14台ある。古い順に1932年式「赤ベンツ(グロッサー770)」、1935年式「赤ベンツ(770)旧第2号」、1937年式パッカード(オープンカー)、1953年式「デムラー(旧寝台車)」、1957年式「ロールスロイス・シルバーレイス」、1961年式「ロールスロイス・ファンタムV(旧9料)」、1963年式「ロールスロイス・ファンタムV(旧10料)」、1968~1970年式「日産プリンスロイヤル」5両(うち1両は寝台車)、1991年式「ホンダ・インテグラ(RXI 4D)」※上皇陛下私用車。
このほかに、前述の秋篠宮皇嗣家が所管していた2000年式「三菱ディグニティ」も保管されている。
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