GRMNヤリスに見る「国産車800万円超えのインパクト」はどんなものか!?

■過去に700万~800万円クラスの日本車にもかなり過激なクルマが揃っていた

 車両本体価格800万円の国産スポーツカーといえば、アルミモノコックボディを採用し、1990年に登場したミドシップスポーツカーの初代ホンダNSXが800万3000~860万3000円。

 2007年12月に766万円で販売開始したレクサスIS FはミドルセダンのレクサスISに最高出力423ps、最大トルク505Nmを発生する5L V型8気筒自然吸気エンジンを搭載したハイパフォーマンスセダン。

レクサス「IS F」。V8の5Lエンジン搭載のモンスターモデル。現行型では「RC F」にその座を譲ってモデルとしては消滅していたが、ビックマイナー後のモデルで「IS500」として復活の予定だ
レクサス「IS F」。V8の5Lエンジン搭載のモンスターモデル。現行型では「RC F」にその座を譲ってモデルとしては消滅していたが、ビックマイナー後のモデルで「IS500」として復活の予定だ

 そして、レクサスIS Fとほぼ同時期に販売開始し、現在でも継続して販売されている日産GT-Rもデビュー当初は777万~834万7500円というプライスだった。GT-Rは現在、最も低価格なピュアエディションが1082万8400円であることを考えると、バーゲンプライスだったと言える。

R35GT-R (初期型)。 2007年12月に登場した当初は480ps/60kgmだった。現在では600ps/65.5kgmまで向上したが、値段も777万円~が約1100万円~にアップしてしまった<br>
R35GT-R (初期型)。 2007年12月に登場した当初は480ps/60kgmだった。現在では600ps/65.5kgmまで向上したが、値段も777万円~が約1100万円~にアップしてしまった

■GRMNヤリスはレースやラリー参戦のベース車にもなる特別なモデルだ

 国産の名だたるスポーツカーと車両本体価格では肩を並べているGRMNヤリス。1.6LターボのコンパクトカーがNSXやGT-Rと同じ価格帯というのはあまりにもナンセンスではないかという人も多いだろう。

 まず、GRMNヤリスとはどんなクルマなのだろうか。GRMNヤリスはGRヤリスをベースにモータースポーツの現場で鍛え上げた技術やパーツを多数投入し、軽量化およびボディ剛性強化を突き詰めた軽量スポーツ4WD。

こちらはサーキットパッケージ。ダウンフォースを獲得するために大型リアスポイラーを装着。一見ショップのチューンドカーにも見えるが、これをメーカー保証のつくトヨタ(GR)がやってしまうところが凄い
こちらはサーキットパッケージ。ダウンフォースを獲得するために大型リアスポイラーを装着。一見ショップのチューンドカーにも見えるが、これをメーカー保証のつくトヨタ(GR)がやってしまうところが凄い
こちらが軽量化のために採用されたカーボンパネル。ノーマル車よりも複雑な形状をより軽く、強く制作することが可能。その分、手作業となるため、部品1点当たりのコストは大幅に高くなる
こちらが軽量化のために採用されたカーボンパネル。ノーマル車よりも複雑な形状をより軽く、強く制作することが可能。その分、手作業となるため、部品1点当たりのコストは大幅に高くなる

 ボディ剛性を向上させるために、スポット溶接打点数を545点増加し、構造用接着材を12m長く塗布。さらに軽量高剛性なカーボン(綾織CFRP)をフードやルーフ、リアスポイラーなどに採用したことに加え、リアシートを撤去し、乗車定員を2名としたことにより、約20kgの軽量化を実現している。

リアシートは撤去され、補強のロールバーが入る。レースやラリーのベース用途のため、いっさいの加飾は廃されている
リアシートは撤去され、補強のロールバーが入る。レースやラリーのベース用途のため、いっさいの加飾は廃されている

■エンジンはトルクアップのみ、主に駆動系や足回りの強化がメインとなる

 搭載する1.6L直列3気筒ターボエンジンは、最高出力は272psのままだが、最大トルクは390Nmに向上。組み合わされるミッションは、エンジンパワーバンドを効率的に使用できるように1速~4速をクロスレシオ化し、駆動力を最適化したローファイナルギヤを組み合わせている。

 さらに、耐久レースなどでの信頼性向上のため、1、3~5速とファイナルギヤにSNCM材の採用およびショット処理を追加し、ショックトルク強度と疲労強度を大幅に向上させているのが特徴だ。

ミッションはクロスレシオ化とファイナルのローレシオ化を実施。ギヤの材質や処理も変更することにより、耐久性やシフト精度の向上も図っている <br>
ミッションはクロスレシオ化とファイナルのローレシオ化を実施。ギヤの材質や処理も変更することにより、耐久性やシフト精度の向上も図っている

 そのうえ、LSDはGRヤリスの前後トルセン式に対して、GRMNヤリスは機械式を採用し、クラッチも強化メタルクラッチへと交換されている。

 そして、846万7000円のサーキットパッケージはカーボン製リアスポイラーをはじめ、ビルシュタイン製減衰力調整式ショックアブソーバー。18インチブレーキ&ホイールなどを装着。

このボディカラーではわかりにくいがカーボン製リアスポイラーの存在感が半端ない。ボディカラーはほかにホワイト/レッドが用意されるが、カーボン部分はすべて素地色となる
このボディカラーではわかりにくいがカーボン製リアスポイラーの存在感が半端ない。ボディカラーはほかにホワイト/レッドが用意されるが、カーボン部分はすべて素地色となる

 一方、837万8764円のラリーパッケージは、専用のショックアブソーバー&ショートスタビリングセット、GRロールバー(サイドバーあり)、GRアンダーガードセットなどを装着し、ほぼレーシングカーに仕立てられているのである。

こちらは「ラリーパッケージ」よりGRヤリスに近い外観だが、やはりカーボンパーツが只物ではない感を醸し出している
こちらは「ラリーパッケージ」よりGRヤリスに近い外観だが、やはりカーボンパーツが只物ではない感を醸し出している
ラリーパッケージの室内。ロールバーやレカロのフルバケットシートが装備。このフルバケットシートにはサイドエアバッグが内蔵されているというから驚き。シートベルトは標準の3点式だ
ラリーパッケージの室内。ロールバーやレカロのフルバケットシートが装備。このフルバケットシートにはサイドエアバッグが内蔵されているというから驚き。シートベルトは標準の3点式だ

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