GRMNヤリスに見る「国産車800万円超えのインパクト」はどんなものか!?

■700万円台のコンプリートカーには過去にも名車が存在する!!

 このように、市販のコンパクトカーと見れば、激高なGRMNヤリスだが、ナンバー付きのレーシングカーと考えると俄然、この800万円というプライスは決して高くない。

 例えば、2017年10月に450台限定で販売された先代WRX STIベースのSTIコンプリートカー、「S208」。「Sシリーズ史上最高の性能と質感を実現した究極のドライビングカー」を目指して開発されたS208はスバルWRX STIをベースにスバルとSTIが共同してエンジンや足回りを専用開発し、内外装に専用装備を追加したスバルハイパフォーマンスカーのトップエンドモデルだ。

NBRチャレンジパッケージ(上)とノーマル仕様のS208。スバルとSTIが究極のロードゴーイングカーとして開発したのがこのクルマだった。昨年新型となったWRXにもこの系統を継ぐモデルがリリースされるのだろうか?
NBRチャレンジパッケージ(上)とノーマル仕様のS208。スバルとSTIが究極のロードゴーイングカーとして開発したのがこのクルマだった。昨年新型となったWRXにもこの系統を継ぐモデルがリリースされるのだろうか?

 搭載されているEJ20型2L水平対向4気筒ターボエンジンは専用チューニングを施し最高出力329psを発揮。足回りは、11:1のクイックなステアリングギア比、フレキシブルタワーバーはじめSTI独自のパーツ類に加え、フロントには可変減衰力サスペンションDampMaticIIとフロント+リアのアクティブ・トルク・ベクタリングの効果により強靭でしなやかな乗り味とシャープなコーナリングを実現している。

 また、STI製BBS 19インチ鍛造アルミホイールや255/35R19タイヤ、ドライカーボントランクリップスポイラーの採用により走行性能も向上。外観には、大型フロントアンダースポイラー、インテリアにもSTI製RECAROバケットタイプフロントシートや専用スポーツメーターを採用するなど、WRX STIが参戦し続けているニュルブルクリンク24時間レースを想起させるモデルとなっている。

S208の登場はインプレッサ時代のWRCイメージからの進化もあったのかもしれない。WRXになってからは、ニュルブルクリンクなど耐久レースでの活躍に軸足を移していたからだ
S208の登場はインプレッサ時代のWRCイメージからの進化もあったのかもしれない。WRXになってからは、ニュルブルクリンクなど耐久レースでの活躍に軸足を移していたからだ

 この450台限定で販売されたS208の販売価格は626万4000~710万6400円だった。現在、S208の中古車は約6台流通していて、約660万~約888万円と新車時価格を上回るプレミア価格となっている。

■海外コンパクト車にも超絶ホットなモデルが存在した!

 また、GRMNヤリスと同様にコンパクトカーながら、フルスペックモデルの車両本体価格が845万6400円というモデルがあった。それがアバルト695ビポストフルスペック仕様だ。

 コンパクトなボディにレーシングカー直系のパワートレーン、そしてハイパフォーマンスな走行性能とGRMNヤリスとアバルト695ビポストはほぼ同じコンセプトだ。

アバルト695ビポスト。見た目はフィアットのホットハッチ、アバルトそのものの佇まいだ。ただ、フロントドアガラスを見て欲しい。段差が見えるような……
アバルト695ビポスト。見た目はフィアットのホットハッチ、アバルトそのものの佇まいだ。ただ、フロントドアガラスを見て欲しい。段差が見えるような……

 アバルト695ビポストフルスペック仕様は599万4000円の標準モデルにサーキット用スポーツキットをフル装備したモデル。最高出力190psまで向上した1.4L直列4気筒ターボエンジンにはラリー車などに採用されるシンクロ機構のないドグリングミッションの5速MTを搭載。まさに瞬時のシフトチェンジが可能な競技用ミッションだ。

 左右のウィンドウはポリカーボネート製のため、上下に昇降しない。引き戸式の小窓が設置され、これを利用してコミュニケーションを行う必要がある。

そのフロントガラスを拡大してみる。軽量化のため、単にポリカーボネート製に換装されただけでなく、このスライド小窓しか開閉しない。窓周辺の部品もことごとくカーボン化されている
そのフロントガラスを拡大してみる。軽量化のため、単にポリカーボネート製に換装されただけでなく、このスライド小窓しか開閉しない。窓周辺の部品もことごとくカーボン化されている

 外観にはカーボン製のパーツを随所に使用し、マフラーにはアクラヴィッチ製を採用。ホイールはOZの専用モデルで、タイヤサイズは215/35R18という超偏平タイヤを装着。

 ビポストというのはイタリア語で2人乗りという意味で、アバルト695ビポストはリアシートが取り外され、その代わりにボディ剛性を向上させるチタン製のバーが装着される。アルカンターラとレザーを表皮に使用したフロントのバケットシートには、3点式シートベルトに加えて、サベルトの4点式シートベルトを装着。

ビポストは2人乗りの意。GRMNヤリス同様、やはり2シーター化されているが、さらに4点式シートベルトも標準。ただ、シート自体にはイタ車のオシャレ感も織り交ぜられているところはさすがだ
ビポストは2人乗りの意。GRMNヤリス同様、やはり2シーター化されているが、さらに4点式シートベルトも標準。ただ、シート自体にはイタ車のオシャレ感も織り交ぜられているところはさすがだ

 0-100km/h加速5.9秒というハイパフォーマンスを発揮するアバルト695ビポストにふさわしい演出が内外装に施されている。

 アバルト695ビポストのフルスペック仕様は限定10台が日本国内で販売されたが、中古車は現在約3台流通していて、価格帯は約728万~約758万円と高い残価率を誇っている。

 S208、アバルト695ビポストの2モデルの中古車事情から考えてみると、GRMNヤリスもほとんど値落ちすることはなく、新車価格を維持、もしくはそれを上回るプレミア価格となるのは間違いないと言える。

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