■日本製EVに抱く違和感
さておきソニー&ホンダEVに期待することは明白。
今の自動車屋が作るEV、特に日本製EVにガッカリさせられるのは驚きのなさだ。具体的にはデジタル体験ショックのなさに尽きる。
先日、トヨタ&スバルEVの開発者と話をしていて「今後のEVは普及期に入るので今までのガソリン車から乗り替えて違和感がないことが重要です」と言ったのには驚いた。
要はbZ4Xやソルテラがクルマとしてはよくできているものの、新しさがないことへの疑問に対する答えなのだが、これから普及期? 単純にまだでしょ! と思ったし、そもそもほかのEVに乗ったことあるんですか? と思った。
確かに「違和感のなさ」というのはひとつの見識であり、安心安全を大切にする実に日本らしいやり方だ。
が、その方法で失敗したEVを何回見てるんですか? と小沢は言いたい。
日産初代&2代目リーフ、三菱iMiEV、どれもガソリン車の置き換えで大失敗している。それと同じことをやろうとしているのが正直歯がゆい。
しかも日本製EVはぜんぜん安くない。刺激がなくても安ければ売れる可能性があるが、日本製EVは構造的に安くなるわけがない。
レアメタルであり、レアアースが中国ほかより安く入らないうえ、人件費が高いのだから、一番の核である日本製電池が「世界的に安く」はほぼ確実にならない。
■自動車メーカーが積み重ねてきた「経験」こそが新しい発想を阻む
今後出るソニー&ホンダの新EVにもまったく同じ心配が存在し、ホンダが開発を主導したらおそらくコラボは失敗する。
今の自動車メーカーには、これまでにないまったく新しい乗りものを作ろうという気概がない。
いや、当初はあったとしても、例えばインパネ設計から「このタッチパネルの配置、見え方は使いにくいんじゃ?」と反対されたら既存の延長線上に戻す。そうやって牙はどんどん削がれていくのだろう。
いやいや、無理やりホンダ開発者の気持ちになったとしよう。
確かにチャレンジはしたい。だが自動車開発はお金も時間もかかるし、既存の自動車メーカーはリコールで死ぬほど苦労している。また新しいやり方をしても成功するという保証がない。
■ホンダが抱える「病」
なんだかんだ現状トヨタは北米や日本で売れているし、ホンダも北米で売れている。
何より今のホンダで心配なのは、いいクルマを作っても、それを適切な価格設定で、狙いに合った販売戦略で売れないことだ。
いい例が日本におけるオデッセイ、ステップワゴンや世界的にみたシビック、レジェンド、NSXなどで、けっこう売れていて出来もいいオデッセイを工場閉鎖にかこつけて販売を止める理由がわからないし、ステップワゴンもシンプルなデザインはいいのだけど、販売の主役がゴテゴテしたスパーダというのがナゾ。
基本、ホンダはエンジニアが作りたいクルマを作って、それを勢いで売る会社なのだ。
設計製造部門と販売部門の連携のなさが最大の問題であり、今後新コンセプトのEVを作ってそれを適切に売れるかは疑問。
さらにレジェンド、NSXを見ても、クルマ好きやクルマ通にウケる味付けやコンセプトばかりで、クルマにまるで興味なし! スマホ大好き、SNS大好き! って人に向けて売るクルマが作れるとは到底思わない。
しかもホンダの開発陣にはプライドがありすぎる。これが最大のネックで、本来多少間違っててもソニーコンセプターが描く、クルマへの想いに忠実に、ホンダの技術で斬新EVが作れたら面白いと思うが、途中で「ここは違うでしょ?」と普通のクルマ的コンセプトに戻してしまいそうなのが怖い。
今回のコラボは、ホンダの自動車エンジニアがいかにプライドを捨てられるか? が一番の鍵になるだろう。
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