そんなにたくさん売れたわけじゃない。でも、何年経ってもみんなが覚えている……そんなクルマを取り上げるこの企画。今回は「そんなのもあったねぇ……」と懐かしくなる三菱 エメロード。改めて口にすると結構イイ名前!?
※本稿は2024年9月のものです
文:小沢コージ/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
■ちょいデカくなったカリーナED?
アレレ? アナタそんなに美しかったっけ? 同窓会で10年ぶりに会った昔の彼女が、予想以上にキレイで焦る。
まるでそんな驚きの懐かしカーが、三菱がバブル期に生んだ美しすぎる4ドアハードトップ、エメロードだ。コッチは30年ぶりだけど。
当時は少し前に元祖スタイリッシュ4ドアクーペのトヨタ カリーナEDが流行り、さらに税制改革で5ナンバー枠の縛りが取れ、3ナンバーボディの三菱 ディアマンテが売れてた頃。
エメロードはある意味、そのイイトコ取りたる7代目ギャランのハードトップ版だ。サイズは全長4.6m台×全幅1.73mとカリーナEDより幅広く、ディアマンテより狭い3ナンバーで、それでいてBMW顔ディアマンテほどのイカツさもない。
いわば少し大きめの三菱版カリーナEDでイイ線突いてたが、当時はスペシャルティばかりなので埋没。結局のところ一世代で終わり、4年累計生産は2万台弱と残念無念。
だが、今見るとホントちょうどいい頃合いの美しさとサイズ感なのだ。エンジンがフロントに横置きされたノーズは伸びやかで低く曲線美の塊。全高1.37mでキャビンとのバランスもいい。リアもカリーナEDのような寸詰まり感がなく、まさしくザ・4ドアクーペ。
加え、これがホンダだったらジュエルアイと名付けただろう、エメラルドの如き輝きのグリル一体形3連マルチリフレクターヘッドライトが美しい。リアコンビも同様の3連ライトだ。
サイズの恩恵を受けたのがリアシートで、大人が乗ると頭が天井にぶつかるカリーナEDに比べて余裕。身長176cmの小沢が前席に座ったポジションで、リアでヒザ前が余り、頭上スペースも広い。
帽子を被ったまま普通に座れちゃうほどだ。トランク容量も広めで450Lもありゴルフバッグが3つは積めそうだ。
【画像ギャラリー】アナタこんなに美しかったっけ? 思わず二度見しそうなエレガントフェイスの三菱 エメロード(24枚)画像ギャラリー■バブル期ならではのあり得ないパワーソース
走りもまたバブル期ならではのあり得ないパワーソース祭りで、エンジン全6種で、そのうち5種がなんとV6。
1.8L直4を除き1.8L・V6 SOHC、2L・V6 SOHC、2L・V6 DOHC、2L・V6 DOHC MIVEC、2L・V6 DOHC MIVEC-MD(気筒休止)。今じゃ絶対に作れないバブル期の宝石たる小排気量V6エンジンだらけ。
それを当時のファジィシフト4速ATと組合せ、足回りもまたホンダ顔負けの4輪マルチリンクサス。ホントバブルな4ドアスペシャルティよ。
今回乗ったのはレア車の王国ユーセレクションで見つけた上玉で、1993年式の2L・DOHC搭載スーパーツーリングスポーティセレクションII! 9月時点で車検が残りつつ79万円と激安。
外装はボンネットこそ焼けてるが塗り直してくれるそうだし、15インチホイールもセンターキャップも色抜けしてるけど、レアな純正モノ。
インテリアも当時の三菱車によくあった懐かしいマーブル模様のウッド調パネルと青い迷彩っぽいケバだったファブリックで覆われタッチ良好。
もちろん全面アナログのメーターやモモ製に替えられたステアリングなど平成のスペシャルティ感バリバリだけど、オートエアコンにパワーシートも付くわで装備充実。
乗ってもボディ剛性こそ低めだけど、170馬力の2L・V6が濃密で超キモチイイ。やっぱマルチシリンダーはつくづく偉大で、これで79万円は安いって!
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コメント
コメントの使い方ユーノスコスモっぽくありつつも、車好きなら一発で三菱と分かるライト回りとリアランプしてるのが個性的で良いですね