日本におけるモータージャーナリストの第一世代として活躍した三本和彦氏。「ベストカー」に残してくださった膨大な遺稿の中から、2013年9月執筆のコラムをご紹介!(本稿は「ベストカー」2013年10月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:三本和彦
■2013年当時の自動車業界・世相を斬る!
皆さんこんにちは、三本和彦です。
猛暑が終わったと思ったら、台風がやってきて恐ろしいくらいの雨が降り、河が氾濫し、大きな被害が出ました。自然とケンカしても勝てないと、つくづく感じさせられる毎日です。被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。
自然相手にケンカはなりませんが、筋違いのことには、ひと言いわせてもらわねばなりません。不躾で耳障りなこともあろうかと思いますが、しばらくおつきあいください。
【画像ギャラリー】御大・おおいに怒る!! 燃費問題にガソリン価格……世の中筋の通らないことが多すぎる! 三本和彦の「多事争論2013」(10枚)画像ギャラリー■浮かれてばかりでいいのか? 2020年東京オリンピック開催にもの申す
2020年東京オリンピックの開催が決まったけれども、手放しで喜ぶのはどうかと思うね。東京でオリンピックが開催されると2兆円か3兆円かべらぼうな経済効果があるようにいわれているけれど、競技場やインフラの整備には、莫大な金がかかることを忘れちゃいけませんよ。
東京都知事は4500億円の開催準備基金があると胸を張っていたけれど、そんなもので足りるはずもなく、不足した金は誰が出すのか? スポンサーを募るというが、そんなにムシのいい話はありません。最終的には国債に頼るんじゃないかと心配しています。それよりもまずちゃんと原発事故の除染をしっかりやってもらいたいよ。
何もオリンピックに反対しているわけじゃないんだ。1964年の東京オリンピックの時は東京新聞のカメラマンとして駆けずり回ったよ。マラソンの円谷の激走とアべべの圧勝、日本選手を子ども扱いした柔道のヘーシンク、金メダルを取った東洋の魔女……etc。いろいろあるけれど、戦争が終わって初めて日本人が欧米人とスポーツで戦ったんだから、日本中がひとつになった。国民を結束させる力がオリンピックにはあるんだよ。
ボクも聖火リレーの最終ランナーの坂井(義則)選手が聖火を点火した時は胸が熱くなったよ。坂井選手は原爆が広島に投下された1945年8月6日に広島県の三次で生まれたんだよ。三次にはマツダのテストコースがありますね。
点火の瞬間を竹竿の先にカメラをくくりつけて撮ったことをよく覚えているよ。当時の写真をごらんなさい。きっと竿がたくさん写っているから。
オリンピックもいいけれど、その前に自動車競争を東京でやったらいいよ。F1でもツーリングカーでもいい。これから各競技場をつなぐ連絡道路を整備すると思うけれど、そこでレースができるようにすればいい。自動車で成り立っている国なんだから、この機会に各社団結してアピールすべきなんだよ。
レース・オブ・チャンピオンズが見られれば最高だね。いずれにしてもオリンピックまでにしっかり除染してトライアスロンが、特別に福島県いわきの海でやれたらいいと思います。
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