ルーミー&タンクの実力はライバルより上か? 10月激売れTOP10入り!?

走行性能と乗り心地はシエンタよりいいか?

ルーミー&タンクのエンジンは69ps/9.4kgmの1L、直3NAエンジンと、98ps/14.3kgmを発生する1L、直3ターボエンジンの2種類
ルーミー&タンクのエンジンは69ps/9.4kgmの1L、直3NAエンジンと、98ps/14.3kgmを発生する1L、直3ターボエンジンの2種類

 走行性能も比べたい。エンジンはルーミー&タンクが直列3気筒1Lを搭載した。車両重量が1070kgに達するので、ノーマルエンジンは幅広い回転域でパワー不足を感じやすい。ターボは1.5Lノーマルエンジンに匹敵する性能を発揮するが、2000回転前後のノイズが気になる。

 シエンタは直列4気筒1.5Lのノーマルタイプとハイブリッドを用意した。車両重量がノーマルエンジンは1320kg、ハイブリッドは1380kgと重いから十分な性能とはいえないが、ルーミー&タンクほどのパワー不足やノイズの高まりは感じない。

 走行安定性と乗り心地も同様だ。ルーミー&タンクは後輪の接地性を維持して不安定な状態に陥るのを防ぐため、操舵した時の反応が鈍い。峠道などでは曲がりにくく感じる。乗り心地は硬めで粗さも伴う。

 シエンタは操舵に対する反応が自然な印象で、曲がりにくさや反応の鈍さは感じない。後輪の接地性も優れ、少し背の高いワゴンという感覚で運転できる。乗り心地は路上の細かなデコボコを伝えやすく、改善の余地はあるが、粗さは抑えた。このように走行性能と乗り心地はシエンタの圧勝だ。

 衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)は、両車ともに歩行者の検知を可能にしている。運転支援機能は装着されない。

シエンタは109ps/13.1kgmの1.5L、直4と、74ps/11.3kgmの1.5L、直4+61ps/17.2kgmのモーターを組み合わせるハイブリッドの2種類を用意。JC08モード燃費はガソリンが20.2km/L、ハイブリッドが28.8km/L。いずれも2WD
シエンタは109ps/13.1kgmの1.5L、直4と、74ps/11.3kgmの1.5L、直4+61ps/17.2kgmのモーターを組み合わせるハイブリッドの2種類を用意。JC08モード燃費はガソリンが20.2km/L、ハイブリッドが28.8km/L。いずれも2WD

コスパはシエンタより上か?

■ルーミーの価格
X(1L、直3)/149万500円
X‟S″(1L、直3)/155万6500円
G(1L、直3)/171万6000円
G-T(1L、直3ターボ)/183万7000円
カスタムG(1L、直3)/187万円
カスタムG-T(1L、直3ターボ)/200万2000円
※すべて2WDの価格

■シエンタファンベース(2列シート5人乗り)の価格
ファンベースX(1.5L、直4)/180万9500円
ファンベースX(1.5L、直4ハイブリッド)/222万7500円
ファンベースG(1.5L、直4)/201万7400円
ファンベースG(1.5L、直4ハイブリッド)/238万3700円
※6人乗り7人乗りの価格は199万4300~257万9500円
※すべて2WDの価格

 価格は衝突被害軽減ブレーキ、両側スライドドアの電動機能などを備えたルーミー&タンクGが171万6000円、シエンタファンベースGが201万7400円になる。シエンタが約30万円高い。

 この価格差ならシエンタを推奨したい。ルーミー&タンクは、クルマの質という点で不満を伴うからだ。

 商品力に違いが生じた背景には、開発期間の違いがある。ルーミー&タンクは2016年11月に発売されたが、約2年間の短い期間で開発されたからだ。

 その背景には、軽自動車の爆発的な売れ行きがあった。2014年にはスズキハスラーが好調に売れてダイハツとの販売合戦に発展して、軽自動車の販売台数が急増した。

 販売会社が在庫車を届け出して台数を稼ぐ届け出済み未使用中古車も乱発され、2014年の新車市場における軽自動車比率は41%に達している(2018年は36%)。

 この状況に慌てたのが登録車を中心に扱うトヨタで、N-BOXを始めとする売れ筋の背の高い軽自動車に対抗すべく、スライドドアを備えたコンパクトカーのトヨタルーミー&タンク/ダイハツトール/スバルジャスティを大急ぎで開発した。

 その結果、商品力に不満が生じた。DNGAの新しいプラットフォームは間に合わず、パッソ&ブーンと同じタイプを使う。想定される車両重量は800~900kgだから、1トンを超えるボディを支えるには無理があった。

 エンジンもパッソ&ブーンの直列3気筒1Lを搭載することになり、パワー不足が生じた。そこでターボを装着したが、前述のノイズを十分に対策できず時間切れとなった。

 ルーミー&タンク/ダイハツトールの報道試乗会で、ダイハツの開発者が「十分にやり切れない面があった……」と肩を落としたのを今でも思い出す。業界を問わず、辛い思いをするのは、いつも現場だ。

 だから個人的には、ルーミー&タンクが好調に売れてホッと安心したことも事実だが、そんなことは読者諸兄のクルマ選びには関係ない。ルーミー&タンクはコンパクトで空間効率が優れ、便利に使えるクルマだが、長距離を移動する時などは疲労を感じることもある。

 また後席にチャイルドシートを装着するなら問題ないが、大人が長時間にわたって座ると、座り心地に不満が生じることもあるだろう。

 シエンタやライバル車となるスズキソリオなど、空間効率の優れたコンパクトな5ナンバー車と乗り比べた上で、購入の判断をされるのがよいと思う。

■ルーミー G 主要諸元
全長×全幅×全高:3700×1670×1735mm
ホイールベース:2490mm
車両重量:1070kg
駆動方式:FF
乗車定員:5名
エンジン:1L、直3DOHC
最高出力:69ps/6000rpm
最大トルク:9.4kgm/4400rpm
トランスミッション:CVT
燃費:24.6km/L(JC08モード燃費)
車両本体価格:171万6000円

■シエンタ ファンベースG 主要諸元
全長×全幅×全高:4260×1695×1675mm
ホイールベース:2750mm
車両重量:1320kg
駆動方式:FF
乗車定員:5名
エンジン種類:1.5L、直4DOHC
最高出力:109ps/6000rpm
最大トルク:13.9kgm/4400rpm
トランスミッション:CVT
燃費:20.2km/L(JC08モード燃費)
車両本体価格:201万7400円

【画像ギャラリー】トヨタルーミー&タンク、ダイハツトール、スバルジャスティの見分けは付くのか?

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