車のガラス、後席窓に「プライバシーガラス」定着。対照的に前席窓は「無色透明」が多いのはなぜ?
輸入車はそれほどでもないが、4ドア・5ドアの日本車であれば、紫外線をカットする効果を持ち、黒く着色されたプライバシーガラスを採用しているモデルがほとんどだ。これは1990年代後半から普及し、今や軽自動車でも当たり前の装備である。
「スモーク」などとも呼ばれるプライバシーガラスは、標準装備のモノに加え、専門業者やDIYで施工するものもあり、多種多様なものが存在する。
しかし、それらはどれだけ透過率が低く、暗い色のガラスでも問題ないのだろうか? そして対照的にフロントガラスが透明に見える理由とは?
文:永田恵一
写真:HONDA、TOYOTA
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リアウインドウだけ濃色OK!? プライバシーガラスの規定とは
実は、車両後半部のガラス(後席ドアガラス/バックドアガラスなど)に関しては、プライバシーガラス、後から施工するスモークフィルムともに規定はない。
そのため、まったく車内が見えないくらい黒いガラスにする、ステッカーを多数貼るのもOKとなる。
極端な例では1987年登場の3代目ミラージュにあったザイビクスや先代ミニ クラブバンのように車両後半側面のガラスがない車、現金輸送車のようにリアウインドウまでふさがれている車も合法だ。
ただ、後から黒いスモークフィルムを貼る場合には後方視界の確保も考慮し、ほどほどの濃さにしておいた方が無難だろう。
前席ドアガラスに「スモーク」はNG! 透過率の決まりは?
前席ドアガラスは、当然ながら側面視界の確保もあり、20年ほど前はたまに見かけた「フルスモーク」などと呼ばれる色の着いたフィルムは違法だ。
しかし、ウインドウフィルムは、車両前側の窓であっても、断熱や事故時のガラス飛散防止による怪我の軽減といった効果もあり、“法規”を満たしたものであれば合法となる。
(ただし、近年増えている水難事故時に、やむを得ずガラスを割って脱出する場合には時間が掛かる懸念もある)
その法規というのは、「フィルムをガラスに貼った状態で可視光線透過率(光を通す度合い。高いほど透明に近く見やすい)が70%以上」だ。
実際にはガラス自体にわずかながら色が着いていることが多々ある点も考えると、フロントに貼れる合法的なフィルム=透明なものと考えてほしい。
それでも可視光線透過率70%というのは、ガラスにフィルムを貼った状態で測るものであることやフィルムの劣化もあるので、フィルムの可視光線透過率が高くても測ってみたら70%を割っていたおり違法というケースもある。
そのため前席サイドウインドウにフィルムを貼るなら信頼できる業者と相談しながら施工するのが間違いないだろう。
■フロントガラスの規定はどうなっている?
フロントウインドウにフィルムを貼る場合も前席ドアガラスと同じくフィルムをガラスに貼った状態で可視光線透過率70%以上が法規となり、同様の注意を払ってほしい。
また、最近では日よけなどを目的としたサンバイザーフィルムなどと呼ばれるものもある。こちらはザックリというと「ガラスの上端から20%以内の長さ」かつ、「信号が確認できるもの」であれば合法だ。
なお、サンバイザーフィルム以外でフロントウインドウに貼っていいものは、車検・定期点検のステッカー、ETCのアンテナ、テレビのフィルムアンテナ、ドライブレコーダーといったものに限られる。
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