名車の中の名車のフェラーリ[GTO]は結局なにが良いの

名車の中の名車のフェラーリ[GTO]は結局なにが良いの

 2024年10月17日、生誕80周年を2年後に控えたフェラーリが世界に向け記念モデル「F80」を発表。エンツォ・フェラーリが掲げたモータースポーツで勝つための精神は脈々と伝承され続けている。

 今回は、長年ベストカーで活躍し、2024年末に亡くなったカメラマン「平野 学」氏を偲んで、彼が撮影した世に出ていない写真とともに、フェラーリ・スペチアーレの先駆けである「GTO」の箱根ターンパイクでの試乗レポートを改めてお届けする。

※本稿は2025年2月のものです
文:チャレンジャー武井/写真:平野 学氏を偲んで
初出:『ベストカー』2025年3月10日号

https://www.sompo-direct.co.jp/otona/ldp/top/general.html?cid=QBC201&utm_source=bestcar&utm_medium=ndisplay_nor000&utm_campaign=bannar&utm_content=bestcar;ndisplay_nor000;bannar;xx;;&utm_segment=xx
【画像ギャラリー】真紅の跳ね馬よ、空まで駆け上がれ!! 選ばれた者だけが味わえる初代スペチアーレ・フェラーリ GTO(12枚)画像ギャラリー

フェラーリ GTOを平野氏が撮影した写真で振り返る

1984年のジュネーブモーターショーで公開されたフェラーリ GTO。グループBのホモロゲーションモデルだ

 2024年10月17日、フェラーリは6代目のスペチアーレモデル「F80」を発表。2年後に迎えるフェラーリ生誕80周年を記念したそのモデルの製造を世界に向け公開した。

 そこで今回は跳ね馬スペチアーレの系譜と各モデルの性能をつづる予定だったが、ベストカーで長年、カメラマンとして活躍してくれた平野学氏が2024年12月末に他界したため、追悼の意を込め、彼が撮影したフェラーリ初の限定車「GTO」にスポットを当てたインプレッションレポートにすることした。

 平野氏が撮影した写真を愛でながら、初代跳ね馬スペシャルモデルのポテンシャルと魅力をお伝えしたい。

【画像ギャラリー】真紅の跳ね馬よ、空まで駆け上がれ!! 選ばれた者だけが味わえる初代スペチアーレ・フェラーリ GTO(12枚)画像ギャラリー

フェラーリ初のスペシャルモデル

デザイン担当はピニンファリーナ。308のデザインを踏襲しているが、ほとんどの外装パネルは専用設計となっている
デザイン担当はピニンファリーナ。308のデザインを踏襲しているが、ほとんどの外装パネルは専用設計となっている

 1984年のジュネーブモーターショーでお披露目されたGTOは、当時盛んだったFIA(国際自動車連盟)の競技車両規定であるグループBのホモロゲーション取得を目的として製造された。

 正式なモデル名はGTOなのだが、2.8Lの8気筒エンジンを搭載していることから“288GTO”の愛称で呼ばれている。GTの後に付いた「O」は、ホモロゲモデルを意味する。

 グループB車両はターボ+4WDが全盛期だったが、フェラーリはあえてミドシップの後輪駆動を選択。ベースモデルの308では横向きだったエンジンを縦に積み、オイルパンレスのドライサンプにすることで、エンジンの搭載位置を低くし旋回性を重視した前後配分の実現とメンテナンス性を向上させた。

 デザインを担当したのは、ピニンファリーナ。308のデザインを踏襲しているが、ほとんどの外装パネルは専用設計となっている。前後フェンダーとドアはFRP製。ノーズやリアエンド、ルーフにはカーボン樹脂などを採用し車両重量の軽量化にも重点を置いた。

 スクーデリア・フェラーリが当時持っていたノウハウを投入した市販車だったが、1986年にグループB規定が廃止されたため実戦に投入されることはなかった。

【画像ギャラリー】真紅の跳ね馬よ、空まで駆け上がれ!! 選ばれた者だけが味わえる初代スペチアーレ・フェラーリ GTO(12枚)画像ギャラリー

『MFゴースト』の聖地として人気が再燃する箱根ターンパイクでの実力

インテリアはブラックレザーでシックなデザインながらゴージャスな雰囲気も持ち合わせている。オプションでパワーウィンドウやエアコン、ラジオなどの快適装備も用意されていた
インテリアはブラックレザーでシックなデザインながらゴージャスな雰囲気も持ち合わせている。オプションでパワーウィンドウやエアコン、ラジオなどの快適装備も用意されていた

 武骨なレーシングカーのコックピットというより、豪華さを持つインテリア。シートはフルバケットではなく、背もたれの角度が調整できるレザー製ドライビングシートだ。座面と背もたれがえぐれた形状で、ホールド性を確保している。

 ドライビングポジションから見る前方視界は意外にも圧迫感がなく、見切りのよさはクルマと一体になった感覚さえある。

 イグニッションキーでセルを回した瞬間、エンジンが鼓動を奏でる。始動性は抜群で気圧変化がある箱根においても気難しさは感じられない。軽くアクセルを踏んでみると、ペダルの動きにエンジンがしっかりと応えてくれた。

 GTOの真骨頂は、過酷なレース用に開発されたエンジンと旋回性能。ターンパイクのアップヒルでは、秘められた性能が充分に発揮できるはずだ。

 いつもの駐車場から、大観山に向けアクセルを踏み込む。しかし、アクセルをラフに扱うと後悔することになる。たちまちテールが滑りスライドを起こす。

 ここで慌てることなく、瞬時にアクセルを調整して車体を安定させ、トラクションが回復したところで2速にシフトアップ。さらにアクセルを踏み込むと再びテールが暴れ出す。

 暴れるマシンをコントロールしながらスロットルを開け、ギアを3速へブチ込むと三度、ホイールスピンが発生。1980年代グループBのポテンシャルは武者震いするほど刺激的で、ドライバーの技量が試される。

 ハンドリングは電動パワステとは違い、ミリ単位で反応するというより、シビアではないがドライバーの操作に対し的確に応えてくれる印象。

 この頃のスーパースポーツカーは、未熟な運転技術をアシストする電子デバイスは装備されていない。GTOの実力を100%引き出し峠を攻めるには、卓越した「腕」がないと危険過ぎる。

【画像ギャラリー】真紅の跳ね馬よ、空まで駆け上がれ!! 選ばれた者だけが味わえる初代スペチアーレ・フェラーリ GTO(12枚)画像ギャラリー

次ページは : シャシーとブレーキ性能の特徴

PR:【期間限定】ガソリンが6ヶ月最大7円/L引き ≫

PR:かんたん5分! 自動車保険を今すぐ見積もり ≫

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

パジェロミニ復活情報をキャッチ! 昭和100年特別企画や高速道路SA・PA情報も掲載のベストカー5.26号発売中

パジェロミニ復活情報をキャッチ! 昭和100年特別企画や高速道路SA・PA情報も掲載のベストカー5.26号発売中

ちわ! 愛車を整備工場に預けたら、あまりにボロいせいか嫌な顔をされた編集部告知担当です。今号はGW直…