シャシーとブレーキ性能の特徴
競技車両の評価を左右するシャシーには、鋼管スペースフレームを採用。正直、剛性感はレーシングカーというより市販車。
恐らくGTOが競技車両に生まれ変わる際は、スポット増しとロールケージを追加することで高いシャシー剛性を得るつもりだったのだろう。とはいえ強靭な剛性はシビアな動きにつながるので一般道では多少逃げがあったほうが運転がしやすい。
サスペンションは、前後ダブルウィッシュボーンでスタビライザーも標準装備されている。路面がわりとフラットなターンパイクでは足回りがしっかり可動して旋回性に文句はなかった。
ただし、コーナーリング中、アクセルは慎重に操作する必要がある。過給がかかるとリアタイヤのトラクションが急激に変化するので、車両の挙動を察知してコントロールできるセンスがないと一巻の終わりだ。
気になったのは制動性。この当時の車両は、ブレーキに不安を抱えている。ダウンヒルを攻め過ぎるとブレーキがフェードして制動性能が顕著に落ちる。1980年代を席巻したスペシャルなフェラーリといえども、ネガティブな部分も持ち合わせていることを忘れてはいけない。
【画像ギャラリー】真紅の跳ね馬よ、空まで駆け上がれ!! 選ばれた者だけが味わえる初代スペチアーレ・フェラーリ GTO(12枚)画像ギャラリー選ばれた者だけが楽しめる特別な跳ね馬
GTOの生産台数は当初200台が予定されていたが、顧客の要望に応える形で最終的に272台が製造された。
その希少性と卓越した性能を引き出すためには、特別な運転スキルが必要な「尖った」モデルであることは紛れもない事実。選ばれたドライバーだけが楽しめる特別なフェラーリというところがGTOの真の魅力なのだ。
【画像ギャラリー】真紅の跳ね馬よ、空まで駆け上がれ!! 選ばれた者だけが味わえる初代スペチアーレ・フェラーリ GTO(12枚)画像ギャラリー288GTO エンジン解説
90°V型8気筒を縦置きミドに搭載。排気量は2855ccだが日本のIHI製タービンRHB5型を2基がけした瞬発力はまさに跳ね馬。
燃料供給は、ウェバー・マレリと共同開発した点火システムと燃料噴射システムを採用。オイルラインはドライサンプ式でエンジンを可能な限り低く搭載している。
フェラーリ初のツインターボエンジンは、2つのタービンの両バンク上部にインタークーラーがそれぞれ配置され、最高出力は400馬力。
最大トルク51kgmと2.8Lでも力強いエンジンはダウンサイジングの原点ともいってもいい。ちなみに288GTOのブースト圧は0.8kgf/cm2が標準だ。カタログ最高速度は305km/h。当時としては最高のエンジンスペックを誇った。
●1984 Ferrari GTO 主要諸元
・全長×全幅×全高:4290×1910×1120mm
・ホイールベース:2450mm
・車両重量:1160kg(乾燥重量)
・エンジン形式:90°バンクV型8気筒DOHCツインターボ
・総排気量:2855.08cc
・最高出力:400ps/7000rpm
・最大トルク:51.0kgm/3800rpm
・ミッション:5速MT
・駆動方式:MR
・サスペンションF/R:独立懸架ダブルウィッシュボーン式
・ブレーキF/R:ディスク
・タイヤサイズ:F)225/50VR16 R)265/50VR16
・0-100m加速:4.9秒
・0-400m加速:12.7秒
・0-1000m加速:21.8秒
・公表最高速度:305km/h














コメント
コメントの使い方