2025年4月1日以降、運転免許取得のカリキュラムが変更される。一部で「MT免許存続の危機」とも言われる中、かつて指定自動車教習所で指導員として運転指導を行っていた齊藤優太氏が、現場の声と今後考えられる事態をレポートする。
※本稿は2025年2月のものです
文:齊藤優太、ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年3月26日号
新カリキュラムに現場は大混乱!!
新たなカリキュラムの施行により現場(教習所)も混乱している。
今回のカリキュラム変更の影響を直接受ける指定自動車教習所のホームページを見ると「カリキュラム変更に伴いMT免許の入校を一時停止しています」や「カリキュラム変更に伴い料金改定(値上げ)をする予定です」という教習所があった。
また、教習所に新しいカリキュラムの内容や料金について直接聞いてみると「カリキュラム変更後の教習内容や料金については、まだ具体的に決まっていないため、現時点でお答えすることはできません」という回答が大半だった。
さらに、現役の指定自動車教習所の指導員に新しいカリキュラムについて話を聞いてみたところ、
「新しいカリキュラムは、AT限定免許の教習と限定解除が一体化された形になります。MT免許を取得するためには、AT限定普通免許の卒業証明書と限定解除の技能審査合格証明書の両方が必要です。
教習所によっては、AT限定普通免許の卒業証明書を持って免許センターへ行き、運転免許証にしてから限定解除の審査に移るというところもあるようです。
新しいカリキュラムは4月1日から始まりますが、これまでと同じ免許取得方法(MT車とAT限定を分けたパターン)をしばらく継続するところもあるみたいです。ただ、旧カリキュラムをいつまで継続できるかは未定のため、この先どうなるのかは正直わかりません」
とのことだ。
別の教習所の営業担当に新しいカリキュラムについて聞いてみると、
「しばらくの間は、教習所に入校した時点のカリキュラムで進めることを予定しています。
そのため、今MT免許の教習生として入校すれば、従来のMT免許の教習(最初から最後まで原則としてMT車での教習)で免許を取得することができます。4月1日以降は、しばらく旧カリキュラムを受け付ける予定ですが、いつまで旧カリキュラムを受け付けられるかはわかりません」
という回答だった。
【画像ギャラリー】クルマ好きはそれが我慢できない!! ATのみで登場し一部改良でMTモデルが追加されたトヨタ GRスープラ(16枚)画像ギャラリー免許取得者自体が今後大きく減少!?
新たなカリキュラムの開始に伴い心配なのは、教習所卒業後にMT車をすぐに運転できる人がいなくなることだけではない。運転免許の取得費用の値上げも懸念される。現在、運転免許の取得には、おおよそ30万〜40万円の費用がかかる。
新たなカリキュラムの開始に伴い運転免許を取得する際の費用が上がった場合、運転免許はいらないと考える人や、免許取得費用が貯まったら教習所に通い始めようと考える人が増えるだろう。
また、クルマが必要な場所や地域では、運転免許のためにバイトを増やしたり、免許貯金を始めたり、運転免許ローンを組む人が増えたりする可能性もある。
これまでも運転免許取得の金銭的なハードルは高かったものの、カリキュラム変更で免許取得費用が高くなった場合、今後さらに運転免許(特にMT免許)取得の金銭的な負担が大きくなるだろう。
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